ぐらりと崩れ落ちるあなたの体を精一杯の力で抱き寄せた。重みに耐えきれずに汚れた地面に尻餅をついた。尻餅をついたときに手の平が少しすりむけて痛かったがそんなの全然気にならなかった。

「やぁ、やっ…」

抑えた傷口から血がドクドクと流れて更に地面を赤く染める。ざわざわとした周りの音すらも耳に入らない。

「銀ちゃ、銀ちゃ、駄目駄目ッ…」

周りにたくさんの人が集まってきた。私はその中心で茫然と座り込んでいる。え、何で?私何でこんなとこにいるの?確か、銀ちゃんと買い物に来てて、そしたらいきなり銀ちゃんが倒れて。周りの声がうるさくて何も考えられない。遠くを見ると人混みをかきわけて逃げる男の後ろ姿が見えた。遠くから誰かが呼んだのかサイレンの音が段々近付いてくる。

「おいッ!お前!大丈夫かッ!?」

急に後ろから黒い服を着た警察官に腕を捕まれた。たくさんの警察官がきて私を支えると銀ちゃんと私を引き離そうとした。

「やぁッ!銀ちゃん!やだッッ!」

私は銀ちゃんの手をきつく握った。さっきまで私の手をきつく握っていた銀ちゃんの手はするりと私の手から落ちて地面の血溜りに落ち、小さく血しぶきが飛んだ。もう銀ちゃんが再び私の手を握ってくれることはなかった。



「やあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」





この世界はフィクションです
(否、ノンフィクション)




さよならと小さく動いたのは私の唇?あなたの唇?

あなたの頬を流れる一筋の涙は私の涙?あなたの涙?

この世界はフィクション?それとも…






END
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