きっとお前をこんなにしたのは俺のせい…

「おまっ、何しちゃってんの!?」
「あっ、せんせぇ」

そう言って君は微笑んだ。いつもの可愛い、俺が大好きな笑顔。でも君はその笑顔に似合わず服も手も真っ赤に染めて手には刃の折れたカッターナイフを握り締めていた。教室の中はいつもの賑やかな空気はなく、存在するのは3人だけ。いや、正確には人と呼べるか分からない。教室の真ん中には血まみれの俺の生徒が倒れていた。教室を染めるのは赤赤赤。少し生臭い臭いが鼻をつく。

「何で、そんなことしたんだ?」

俺は緊張して震える声で聞いた。教師のくせに間抜けにも俺の足は、この目の前のか弱い女生徒にびびってがたがたと震えていた。

「だってぇ…」

すると君は悪びれる様子もなく少しすねた顔して「こいつ先生のことが好きだって」と笑顔で言うと、倒れてる生徒の頭を上履きでぐりぐりと踏んだ。

あぁ、狂ってる。

「だからって…」

咎めようとする俺に、君はゆっくりと近づくと、するりと腕の中に入ってきた。こんな状況でもお前に心臓が高鳴る俺を心底阿呆だと思った。

「ねぇ、せんせ?」

君はいつもよりもっと甘ったるい声で呟くと俺の唇に自分の唇を重ねて耳元で囁いた。

「一緒に逃げようか?」

君の手に持たれたぎらぎらしたナイフと君の体の甘ったるい匂いが、俺のすべての神経を麻痺させた。この感覚からはきっと逃げられない。







君は天使の微笑みで悪魔の囁きを
(知ってるよ、先生は私を置いて逃げない)







END
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