思い出は友が
*1と1'は元同級生
ライトは、華やかなパーティー会場に佇む、見覚えのある人影に声をかけた。
「久しいな、ガーランド」
「おお、お前も来ていたのか」
昔は苦楽を共にした、数少ない仲間。
進学校出身の2人は、今や政府の重役となった。
この会場に集まるのも、そのとおり政界のトップクラスたち。
立場上はガーランドの方が上だが、敬語を使うことなくライトは話した。
「今年はなかなか叩かれていたな」
「ああ、あの皇て…いや、大臣には本当に振り回された」
「振り回されるのを楽しんではいないか?」
「誰がそんな趣味があるものか」
少しだけ微笑みながら、ガーランドは否定の言葉を述べた。
クリスマスなんて関係なく、仕事に終われる日々。
昔は友と過ごす楽しくて仕方のない毎日が当たり前だった。
これが大人か、とライトは切なく感じた。
「ところでライト、今晩空いているか?」
「?…ああ」
「お前には黙っていたのだが…同窓会の誘いが来ていてな。あの姫様たちから」
「…セーラが?」
「先月、公務が忙しくて我らは出られなかったろう。それを、今日このパーティーが終わったあと、開いてくれるそうだ」
「それはありがたいな」
「共に、思い出に浸ろうではないか」
共に、思い出に浸れる。
それは、過去の仲間たちとの絆が今も確かである証。
薄れていく記憶は多い。
しかし、仲間と過ごした何物にも変えがたい日々を、忘れはしない。
ライトはそっと心に誓った。