SSS | ナノ
白石と幸村

「お疲れさまー」
「お疲れ」
「幸村君なかなか役者やったなー!カメラ向けられてあの顔は普通できひんて。隙のない表情やのにシャツはだけさすとか上級者やな自分」
「そうかな。白石だってノリノリだったと思うけど。ちゃっかり毒手アピールしてるしさ。ポージングもいろいろ考えてきたんでしょ」
「あ、ばれた?まー、言うても俺らは学校で撮られ方とか鍛えられとるしなぁ。お笑い系やけど。それに不二君もシャッターチャンスは一度だけて言うてたからね。やっぱ逃したらあかん」
「……四天宝寺の生徒にはなりたくないや。なんていうか学校全体がネタ探しでギラギラしてそうだよね」
「うーん、当たらずとも遠からずってとこやな。常勝立海ならぬ常笑四天宝寺っちゅーこっちゃ」
「それ聞くと本当に立海でよかったと思うよ。そういえば誰かがボケるたびにみんなコケなきゃならないって聞いたんだけど……」
「もちろんほんまや。ちゅうかむしろ当たり前の話や。ボケられたら突っ込むかコケるかの二択しかないんやからね。別に普通のことやろ?」
「……」
「……幸村君?」
「……まぁ、君たちの常識が世間一般では通用しないことだけは言っておくよ。ところでブランケットになるんだっけ、あれ」
「え、抱き枕ちゃうん。等身大のやつ」
「撮影の後でスタッフの人に聞いたよ。それに等身大の抱き枕だと部屋に置くには邪魔なんじゃない?」
「なんやー!それやったらあんなにカッコつけへんでもっと包み込むような暖かさを表現するんやったわ!白石はだいたい優しさでできてますー的な!」
「だいたいって……。ていうか、そもそも撮影時のあのシチュエーションだと明らかに俺たちが下なんだよね。男の自分としてはちょっと複雑な気分だよ」
「せやかて商品がブランケットやったら構図はああなるで。誘い受けを狙っとるんやないの」
「誘い受け、ねえ……。確かに俺のシャツはだけてるし、この商品のターゲットは女性だろうし明らかにその路線だよね。スタッフに指示されたとおりにやっただけなんだけど」
「やっぱ狙っとったんやなースタッフ。でも何で俺脱げー言われへんかったんやろ」
「白石が脱ぐと違うものになりそうだったんじゃない?まぁ、あんまり深く考えない方がいいかもしれないね」
「せやな。オッケーもらったんやしあれで十分やな。あんまり色気を出しすぎるのもあかんてな。あー早く出来上がらへんかなー楽しみやわ」
「そうだね。それじゃあそろそろ帰ろうか」
「おぅ。……あ、幸村君これあげるわ」
「え、これ……Tシャツ?しかも君の顔がプリントされてるけど」
「夏にやったライブのグッズなんやけど、よかったら使うてくれな」
「……ありがとう」
「よっしゃ、じゃー行こか!」
「あ、うん……」





―――――
2010/12/17
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -