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たくさんの熱気が漂うフィールド。皆が自分の寮、はたまた贔屓にしている寮を応援しようと、大声で目の前の彼らに声援を送る。
そして私はもちろん、緑色の彼らを応援しに来た。今日の対戦相手はあの、因縁の相手でもあるグリフィンドール。相手が彼らとあれば、いつもより数段と応援にも力が入るものだ。
緑のユニフォームに包まれた彼を見ながら、私も一緒に空を飛びたくなった。


『 Lesson 03 好きになってしまいましたね。 』


大広間で朝食を取っていると、やけに今日は周りのみんなが、何処か浮き足立っていることに気が付いた。たっぷりとママレードを塗ったトーストを咀嚼しながら、私は首を傾げる。あれ、今日は何かあったっけ。寝起きだということもあって、頭の中でぐるぐる考えても答えは出なかった。

「ねぇねぇ、今日って何かあるの?」

そんな私の問いに、隣に座っていた彼女は大袈裟な程眉間に皺を寄せた。

「名前ねぇ…、寝ぼけてるの?」

「ちょっと眠いけど…」

「今日はクィディッチに決まってるでしょう?
しかもグリフィンドール戦なのよ!」

そういえば彼女は、クィディッチの大ファンだっけ。そうかだから、こんなにも生徒達がみんな朝から元気なんだ。一人で勝手に納得をして、残りのトーストを齧る。
そんな私は彼女に半ば引きずられるように、クィディッチの競技場へと足を運んだ。私はクィディッチにそこまで熱狂的ではないし、たまに見ようかなと思うくらいだ。嫌いでもないが、これといって特に好きというわけでもない。最後に見たのは、去年の優勝がかかった大一番の試合だった。

「今日は絶対に勝つんだからね!」

興奮気味の彼女の隣で、私はひっそりと息を吐いた。そんな私達の上空には、両チームの選手達が揃っていた。いよいよ始まるらしい。

「スリザリーーーン!!」

周りの声援に圧倒されながらも、私は飛び交う彼等に視線を送る。一人、人一倍高いところで周りを見渡しているのは、スリザリンのシーカーである彼だ。そういえば、彼はクィディッチのシーカーだっけ。
そして彼は何かを見つけると、猛スピードでそれを追い掛ける。きっとスニッチを見つけたんだろうか。颯爽と箒を自由自在に操りながら、真剣な眼差しである一点を見つめる彼から目が離せなかった。

「スリザリンのシーカー、レギュラス・ブラックがスニッチを掴みました!」

ドッと沸いた歓声に、私も思わず拍手をしながら立ち上がった。
そんな私達の目の前に、さっきまであんなに遠くにいた彼がゆらゆらと姿を現わす。いつものような笑顔ではなくて、嬉しそうに笑いながら。
珍しいレギュラスの行動に、何事かと周りのみんなが私達に注目していることが分かった。

「名前」

「レギュラス…?」

「見て、スニッチだよ。綺麗だろう?」

キラキラと輝くスニッチは、太陽に照らされてより一層美しく見えた。
そんなスニッチに見惚れる私に、彼はおかしそうにまた笑って、仲間達の元へと戻っていく。そんなレギュラスの背中を見つめながら、私は自分の胸を抑えた。
ああ、どうしよう。ドキドキが止まらないや。