久しぶりのホグワーツに久しぶりに会う友達。たった何日かだというのに、もう懐かしい気持ちでいっぱいだった。
「リリー!素敵なプレゼントをありがとう」
「名前久しぶりね。名前も可愛いキーホルダーをありがとう!」
早速リリーから貰ったカチューシャを付けてみた。それはシンプルで使いやすくとても可愛らしい。そんな彼女に私があげた物は、動くクマの小さなキーホルダーだ。ブラウンのふわふわとしたクマが可愛くて、私が一目惚れしてしまったものである。
「これ、可愛いでしょ?」
「ええ!とっても可愛いわ」
それからは仲の良い友達にプレゼントのお礼を言ったり、久しぶりの再会にたくさんお喋りをした。みんなクリスマスプレゼントを喜んでくれたみたいで、とりあえず一安心だ。
「シリウス!」
つい先日会ったばかりのシリウスからは、そういえば珍しいものが贈られてきたっけ。今頃あのぬいぐるみは私のベッドの上でちょこんと座っているだろう。
「プレゼントありがとう。
いつもと違う感じだったからびっくりしちゃった」
「お前もサンキューな。ほら、ちゃんと着けてる」
そう言って左腕を捲った彼の腕には、私があげたシルバーのシンプルなブレスレットが着いていた。私があげたものを彼が早速着けているということが素直に嬉しい。
「着けてくれてるんだね、ありがとう。
私もシリウスから貰ったウサギのぬいぐるみ、ベッドの上に置いてるよ」
「まじかよ。あれ、可愛いだろ?」
「うん、とっても可愛い。
ありがとうね」
私の言葉に彼は少し照れたように笑ってくれた。すると急に何かを思い出したのか、ハッとするような表情をする。
「そういえばあいつからは何貰ったんだ?」
この表情から察するに、あいつとはおそらくルシウス・マルフォイのことだろう。ちょうど私からも話そうと思っていたところだ。
「あー、それなんだけどね。
ルビーのネックレスを貰ったの」
「ネックレス?」
「そう」
「なんでまたあいつは名前にネックレスなんか贈るんだよ?
そんなに仲良かったのか?」
「仲良くないよ。だからちょっと怖くなってお父さんに見てもらったの。
でも特に魔法もかかってなかったみたいでさ」
シリウスも私と同じような気持ちだろう。何故、ルシウスが私にそんな物を贈るのか。これはいくら考えても分からないことだった。
「なにがしたいんだろうな…もういいから捨てちまえよ」
「さすがに捨てるのはちょっと…
でも着けることなんてないし、引き出しの中に閉まってるけど」
「なんだあいつ、気持ち悪ぃな」
今度会った時にでもルシウスに聞かなければ。そうは思っていたのだけれど、それから中々彼と会うことはできなかった。まるで私を避けているかのように。私は時間が経つにつれて、いつの間にかそんなネックレスの事なんか忘れてしまったのだけれども。
夕食の前に図書館に寄った。クリスマス休暇に借りていた本達を返して、今回は少しだけ借りたい物の目星をつけるだけにしよう。またあとでゆっくり図書館に来ればいい。そう思ってかるく本棚を見て回っていると、ふと見知った顔と目が合う。私を見た彼は少しだけその目を見開いた。
「セブルス、久しぶりだね」
何冊か本を抱えている彼に近づく。持っている本はどれも難しそうなものばかりだった。
「フラール…その、クリスマスプレゼント…」
そういえば彼にもプレゼントを贈ったのだ。何がいいか分からなかったので、とりあえず父親にオススメされた薬学の本を贈ったんだっけ。
「ああ、あの本どうだった?
お父さんのオススメなんだけど…」
「そうだったのか。…すごく面白かった」
なんだか、何かソワソワとしているような何か言いたそうな、そんな彼らしくない様子だ。普段からあまり目は合わないけれども、今日はいつもよりさらにその目がキョロキョロとしている。
「どうしたの?」
「いや、君からくるとは思ってなくて…」
「あ、勝手に送っちゃってごめんなさい…
もしかして迷惑だったかな?」
私の言葉に彼は自分の首を左右に振る。どうやら迷惑ではなかったらしい。本当かどうかは分からないけど。
「…これ、よかったら」
そんな彼が差し出した手には、小さなピンク色のリボンの小包。
「私に?」
「ああ。…何もあげてなかったから」
「…うれしい」
渡されたプレゼントをぎゅっと抱きしめる。彼からプレゼントを貰えるなんて元々思ってはいなかったし、私が無理矢理贈っただけだったのに。もちろん彼から何かを貰えた事も嬉しかったけれど、それよりもセブルスと前よりも少し仲良くなれた気がして、それがとっても嬉しかった。
「僕こそ、本をありがとう」
彼はそれだけ言うと、私の顔を見ずにその場を去って行ってしまう。私は一人ポツンと取り残されてしまったわけだけど、今起きた出来事が嬉しくて、ふわふわと幸せな気持ちだった。その後大広間に行っても私は終始ニコニコしていたようで、皆にちょっと不気味がられてしまったのも別に気にならなかった。
早速部屋に戻って開けた包みには、素敵な紅茶のセットが入っていて、紅茶が好きな私にはとても嬉しいものだった。後でリリーと一緒にお茶でもしようか。セブルスも誘って三人で出来たらいいな、と今日の私は幸せな気分で眠りについたのである。