「レギュラス、クリーチャーは?」
私に美味しい紅茶と、私好みのお茶菓子を用意してくれるのはいつもクリーチャーだった。だけどここ最近の紅茶はいつもと味が違ったし、お茶菓子だって美味しくないわけじゃないけれど、満足のいくものではなかった。だから、クリーチャーがいないのかな、なんて思ってしまったのだ。
「…少しやってきてほしいことがあって、だから今はいないよ」
「そう、なんだ。…寂しいね」
レギュラスの顔が歪んだ。ああ、この人無理してる。クリーチャーに何かあったのだろうか。そういえばレギュラスの顔色が何日か前から悪い。もしかしたら原因はクリーチャー?
「…レギュラス無理してるでしょ」
わたしは小さい頃からずっとレギュラスの隣にいるから。だから少しの表情や体調の変化だって、すぐに気付いてしまう。
レギュラスは死喰い人だ。そして私の大切な人。私は死喰い人ではないけれど、いずれそうなるのだろう。死喰い人になるのはそんなに怖くない。それより私は、この人を、レギュラスを失うほうがずっとずっと怖い。
「大丈夫だから…名前は気にしないで」
弱々しい顔で笑うレギュラスなんてみたくないのに。
「……うそつき、」
小さく呟いた声は、きっと彼には届いていないだろう。私はレギュラスのためなら、なんだってするのにね。