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「今日と明日はなにもないんだ。だから家でゆっくりしよう」

レギュラスと一緒に朝食を食べているときに、彼がそんなことを口にした。彼はここのところずっとどこかへ行っていた。だから久しぶりにずっとレギュラスと一緒にいられるなんて嬉しい。そういえば今日は、クリーチャーから聞いた日の二日前だ。

「ほんとに?嬉しい!
ねぇ、レギュラスなにをする?」

「さすがに出掛けるのはちょっとね」

「久しぶりにレギュラスとデートしたかったのに!」

最後にレギュラスと出掛けたのはいつだったっけ。遠い昔のような記憶で思い出せない。もうレギュラスとデートなんて、できないんだろうな。

「外は死喰い人だらけだよ。休みの日まであいつらに会いたくない」

そう言って苦笑いする彼を見て、思わず泣きそうになる。私はレギュラスの計画を知ってから、粛々と準備を進めてきた。ブラック家にある莫大な本から、分霊箱や洞窟についてできる限りのことを調べた。それが役に立つかは分からない。おそらく、あまり役には立たないだろう。

「じゃあ今日はお菓子作りがしたいな。ショートケーキ!」

そういえばレギュラスとキッチンに立つなんて初めてかもしれない。今日はレギュラスと一緒にケーキ作りにでも励もうじゃないか。

「分かったよ。美味しい物を作ってクリーチャーをびっくりさせよう」

「もちろん!」

私たちは朝食を食べ終わると、早速ケーキ作りに取り掛かった。普段あまり料理をしないので、正直上手く作れるか不安だ。

「魔法は使っちゃだめだよ」

「はいはい」

やっぱり魔法より、自分たちで一から作ったほうが美味しくかんじるし、なにより楽しい。こんな楽しい時間がずっと続けばいいのに。

「わっ、レギュラス危ないよ」

「包丁なんて持ったことないし」

「私がやるから、レギュラスは生クリームかき混ぜて!」

不恰好な飾り付けだって、少し焦げてしまったスポンジだって、レギュラスと食べるならなんだって美味しいよ。

「ちょっとクリーム厚すぎないかなぁ?」

「名前へたくそ」

「レギュラスに言われたくない」

「ほら、僕がやるから貸して」

こんな時間がずっと続けばいいのにね。