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「忍術学園の教師と生徒を暗殺してこい」



いきなり殿に呼び出され部屋に向かうと、そこには組頭と子頭もいらっしゃった。二人は殿の付き人のような方達なので、いることに疑問は無かった。
しかし、問題はそれではなかった。私はいつもどおり他の城の城主の暗殺などを頼まれるかと思ってここへやってきた。だが、殿の口から出てきた言葉は「忍術学園」だった。

私は忍術学園の卒業生だ。あの学園で六年間学び、鍛練を繰り返し、今の私を生み出すことができた。
その恩師の方達を殺せ、と殿は仰ったのだ。
冷や汗を流しながら殿を見上げる。殿は笑っていた。そして、何となく感じた。



あぁ、分かっていて私にやらせようとしているのだと。



先生だけではない。学園には自分の知っている生徒も何人かいる。
薄々感じてはいた。学園に有効的なのは保健委員会と関係のある組頭と子頭くらいなものだ。決して学園に手出しをしない訳ではない。そう、いつか学園と敵対するかもしれないなんて分かっていたではないか。



組頭に視線を移す。組頭は目を閉じ、表情こそ読み取れなかったが、ゆっくり、『すまない』と、口元が動いた。



きっと私は今にも泣き出しそうな顔をしているのだろう。目の前が滲んで見えてきた。視界がグラグラする。
しかし私はそんな顔を上げて視線を殿に移し、告げた。





「かしこまりました」

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テーマ「推しとの恋」
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