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血を見ることに抵抗や恐怖心など、私の心には存在してなかった。まだ私が忍たまの時期に、いくら実習で戦を見ようと、怪我人を見ようと、死人を見ようと、何とも思わなかった。
同じ学年の友人達からはよく、有り得ないやら心がないやらと言われたものだが私はさほど気にすることはなかった。逆に言えば、血を見ただけで気持ち悪くなる、という感覚が私には理解出来なかったのだ。



学園に通って上級生にもなれば、そろそろ自分の進路というものを決めなければいけなくなってくる。
私は正直忍になれるならどこの城に就くことになってもよかったから、就職先を真剣に考えていたと言えば嘘になる。
しかし、周りの友人達はけっこう真剣に悩んでいるらしい。それを見ていると私も少し不安になってきて、同室だった友人に、私はどうしたらいいと思うか訪ねてみた。
友人から返ってきた答えは「暗殺とか向いてるんじゃないの?」それだけだった。



きっかけなんて、そんなものだった。その日から私は暗殺者になることを目指し始めた。先生方は大変驚かれたが止めることはしなかった。止めたところで私の意志が変わるとは思わなかったのだろう。
そしてそのまま六年生になり、卒業をし、時を経て、私はタソガレドキの忍になった。



そして、今に至る。
今までにどれほどの人を殺したかなんていちいち覚えてはいない。けれど、情けをかけたことは一度もないことはよく覚えている。だって、意味が無いから。

今回もそうだ。相手が誰であれ、容赦などしない。
例え目の前でどんなに人が怯えていたとしても。どんなに泣こうと、叫ぼうとししても。



城の一部がゴウゴウと音をたて、燃え始めてきた。
私の仕事はこれでおしまい。早く城へ戻らなければ。




そして私は、今日も一つの命を神の元に返すのだ。
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