「すい、へー、り、べえ、ぼ、く、の、ふ、ね、………あれ一個足りなくね?可笑しいよこの呪文」
「の、に二つ意味があるんだよ。NとOだろ」
「意味分かんない畜生!」



ベッドに横になって携帯をいじっていると、机でノートとにらめっこをしていた由里が、馬鹿な発言を吐き出した。メールを送りながら教えてやると、由里は軽く発狂したように頭を掻き毟った。ちなみに、俺が今メールをしている相手は伊作だ。窓を開ければすぐに話せるが、さすがに夜は面倒くさい。


「何この線。何で点が棒に変わるの」
「棒ってなんだよ。価標だろ、価標」
「分けわかめ〜」


わけのわからないことを言いながら(さっきの発言はわけが分からないと、わかめをかけているらしい。ただのギャグのようだ)由里は机に突っ伏した。
こいつは理数系が全く出来ない。というか今頃になってあの元素記号を覚えるための呪文を呟いているとは、大丈夫なのかこいつ。勉強したの1、2ヶ月前だぞ。

「もういい!理数は捨てる!私は今回文系だけでいくし、という訳で寝るし!」
「結局いつも通りじゃねぇか。だからいっつも総合悪いんだよ」
「留三郎だって国語とか出来なくて総合悪いじゃん。人のこと言えないくせに!」
「俺はまだ基礎が成り立ってるんだからいいんだよ!お前なんて基礎も出来ねぇじゃねぇか!」
「はぁ!?私は国語とかで80点以上とかとれるからいいんですー!留なんて大した点とれないくせに……」



バダンッ

という大きな音が、由里の言葉を遮った。恐る恐る音の方を見ると、そこには兄さんが立っていた。あの音は、兄さんがドアを開けた音だったのだ。兄さんは不気味に笑っていた。俺の体から、大量の冷や汗が溢れ出る。



「「ごめんなさいいぃぃぃ!!!」」






それから俺たちがどうなったかは、お察し頂きたい。
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