さて今回はこいつ、仙蔵について話すことにしよう。仙蔵はさっき私と共に学校へ来た伊作の兄で私の幼馴染であり、この『大川学園』の高校二年生である。次期生徒会長、成績が学年トップであるなど学校内では名の知れて入れる奴だ。ちなみにこいつにもファンクラブがあるらしい。兄弟そろって人気者とかすごすぎだろ。
学校へ来る途中に伊作につけた名が『残念なイケメン』なら、仙蔵は『完璧なイケメン』といったところだろうか(二度目になるが、けっして伊作が嫌いなわけではない)。

そして今仙蔵の周りには何人かの女の子がいる。ファンであるかどうかは知ったことではないが、学校の人気者がいるのだ。近づきたくなっても無理はない。


「仙蔵…なんで一年の階にいんの?」
「なに、ただ校内を巡回していただけだ。これでも生徒会の役員だからな」


仙蔵は腕を組みながら私に微笑んできた。だが、私にはその笑みが『お前とは違う』という、見下した様子にしかとらえれなかった。


「分かったからちょっと離れてよ」
「なぜだ?」
「なぜ、って……」


お前の後ろにいる子達の視線が痛いんだよ!!

私がちらりと後ろを見る。仙蔵は私のその動きでどういうことか気付いたらしい。私を見て、また微笑んできた。


「まぁ、何か知らんが気をつけることだな」


そう言うと仙蔵はいきなり私の頭を撫でてきた。その瞬間に後ろにいた女の子達の騒めきが大きくなる。私を通り過ぎた後、後ろから小さく笑う声が聞こえてきた。

あいつ…やっぱり分かってやってやがる……!!
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