目をあけると私の視界には殺風景な自室の天井が広がってきた。
大きくのびをして目を擦ると、冷たいものが指先についた。それは夢の中で枯れそうになるほど流した、私の涙だった。冷たい。頬を撫でてみると、夜中にずっと泣いていたのか、涙のあとがついていた。枕も濡れてしまっている。
「どうして人は泣くのだろうね。」
ぽつり、と呟いてみても返事は返ってこなかった。否、返ってくるわけがないのだ。私の部屋、ここには私以外誰もいないのだから。
眠っていたベッドから落ちそうになっていた布団を持ち上げ、私はそれにくるまった。あぁ、温かい。凄く温かい。
「寂しい、寂しいよ」
何百年と昔、まだ忍になることを夢みていた私は、あの時どうして泣いたのだろう。
昔の私と今の私、何が違うのか。皆がいたことが、そんなに大事なことだったのか。今の私には到底理解し難い話だ。
「どうして今、皆がいないの!?」
こんな記憶、思いだしたくなかった。涙はまだ、枯れそうにない。