兄妹愛さん
※ルフィvsカタクリ戦の直後の話
妹プリンの結婚式が台無しになってから私はナッツ島へとこっそり向かった。
そして漫画の通りに鏡の世界から現れた麦わらのルフィを追いかけて、彼が入っていった留守の家へ私も籠を手に持ちお邪魔した。
現れた私を見るとルフィは警戒したように睨み、ブリュレお姉ちゃんは驚いた様子で私の名前を呼んだ。
こっそりとやはりワンピースが好きだったので麦わらの一味を見ていたけど、目の前にいる本物のルフィに少しだけテンションが上がりそうになる。
いや、そんなことしている暇はないけど。
「ルイ良いところに来たね!人を呼んで来て!」
「ごめんなさいブリュレお姉ちゃん。それはできないの」
「なんだって!?」
「ねえ、麦わらのルフィさん。お願いがあるの」
私はルフィに一つお願いをした。
結局私はカタクリお兄ちゃんから離れる道を選べなかった。
ルフィには見逃す代わりに私も鏡の世界に入りたいと頼んだ。
そしてこっそりと二人の戦いを見守った。
鏡の中の世界で主人公であるルフィに負けたお兄ちゃんに私は駆け寄ってお兄ちゃんの頭を抱く。
お兄ちゃんの口元にある黒の帽子を見る。フランベに怒っていた時に見たけど漫画で知っていた通りだ。裂けていた。
こんなに怪我をして、私は予め籠の中に持ってきていた薬や包帯で応急手当てしようとすると、お兄ちゃんはうっすらと目を開けた。
「ルイ」
「カタクリお兄ちゃん」
お兄ちゃんは私に気が付くと私の顔に手をやり、涙の浮かぶ私の目尻から涙を拭った。
「こんな化け物の口ですまない」
お兄ちゃんは悲痛そうな表情でそう謝った。
こっそり隠れていたけどお兄ちゃんには気がつかれていたのだろう。
お兄ちゃんは大馬鹿だ。
我慢できなくて拭いきれないほどにポロポロと涙が零れた。
「お兄ちゃんの馬鹿。私がそんなことくらいでお兄ちゃんを嫌いになるわけない。お兄ちゃんは化け物なんかじゃない」
結局お兄ちゃんは私のことを信じていなかった。
私は例えお兄ちゃんのことを知らなくたって嫌いになんてならなかったよ。絶対に。
こんなに優しい人を嫌いになんてならない。
「お兄ちゃんのこと大好きだよ。本当に大好きなの」
いろいろなことを諦めてでも、少しでも長くお兄ちゃんのそばにいたいと願ってしまったくらい。
「だから、私の大好きなお兄ちゃんを否定しないで」
泣きすぎて痛い喉から絞り出すようにして、お兄ちゃんに伝える。
するとお兄ちゃんは泣きそうな顔で私の頭に手を回して、後頭部に力を込めた。
もう片方の手で帽子を取り払って。
それにより、私の顔はお兄ちゃんの顔に近寄り、唇と唇が合わさった。
キス、したのだ。
私は目を白黒してお兄ちゃんを見る。
するとお兄ちゃんは私へ愛おしそうに微笑むと。
「ルイ、愛している」
と言って。
そのまま目を閉じた。
息はあるから体力の限界で眠ってしまったのだろうけど。
「〜〜っっ!カタクリお兄ちゃんの馬鹿!!」
私はそう叫びながらも、早く目を覚まして言葉の真意を聞くためにお兄ちゃんの手当てを始めた。
カタクリお兄ちゃんは大馬鹿だ。
でもそこも可愛いし、格好良くて大好きで愛している!
end
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