やめてください(桃鳥と部下/微裏)
※微裏注意
確かに若がおれにそういう、あー、性的感情を持っている事は分かっていた。
だって会う度にフッフッフと楽しそうに尻を触られたり服に手を入れられたりというセクハラを受けているのだから、分からない方がおかしいだろ?
おれはそのセクハラをいつも軽く払いのけながらも我慢していた。
相手は一応この国の国王様である。いままでゴマをすって王宮に使える地位まで来たのにセクハラで辞めるなんてなにそれ笑えない、てな訳で今まで我慢していたのだが。
いよいよ限界を迎えそうです。
おれは最近はとても忙しかったので、しばらく城下にあるちいさな一件家に帰る事ができなかった。
けれど、やっと時間ができて家へと帰る事ができたのだが。家へ入りリビングで一息ついてから俺の寝室へと行くと、ベッドの上に楽しそうに笑うおれの仕える相手であるドフラミンゴ……若がベッドの上にいた。どこから忍び込みやがったバカ若が。
……まあ、おれの海より広い寛大な心でそれだけだったのなら許そう。
許せないのは彼が今現在、完全な全裸だという事だ。
なんなんだコレは。
疲れているせいで幻覚でもみているのかもしれない。「フッフッフ。なに百面相してんだ、ユウ?」なんて言葉俺には聞こえない。
とりあえずおれは部屋から出ようと扉へ回れ右をしたのだが、若に背を向けた途端に体が金縛りにあったように動かなくなった。どうやら若のイトイトの実の能力らしい。
何回も動きを封じられたことがあるのですぐに分かった。
おれは見えないイトにより再び回れ右をさせられると、やはり先ほどと変わらない全裸でベッドに座っている若がいた。幻覚なんかじゃないようですね、このやろう。
だいたい何なのだ、おれのベッドにお前の息子をつけるな。おれは別に潔癖症ではないが、誰が自分のベッドに男の性器がくっついていて嬉しいとおもうのだ。
うれしいのは頭のおかしいやつだけだろ。
「とりあえず、服を着てください」
おれはたぶん死んだ魚のような目をしてそう言うと若は「つれねえなあ」とやはり笑う。
そして指を動かし糸でおれを若の座るベッドのそばへと動かすと、若はおれをでかい両腕で包み込み後ろへと倒れ込んだ。
そのせいでまるでおれが若をベッドに押し倒しているようすになる。
「どんなに誘われましてもおれは若では勃起しませんし、あなたを楽しませる事なんてできませんよ」
「ヤってみなけりゃ分からねぇだろ」
さんざん触られても嫌悪感しか感じないのだ。確かめる必要も無いだろうが。
「もう待つのはあきた。命令だ、ユウ。おれとヤれ」
「……はい、若」
「フッフッフッずいぶんとあっさり頷くじゃねェか」
若の嬉しそうな声と共におれを抱きしめる腕の力が強まった。
若に命令されたのでは仕方がない。嫌悪から眉間にシワが寄るのは抑えられなかったが、命じられたのならするだけだ。ゴマが嫌な話、男の性器になっただけなのだ。
入れる事はたとえ命令だろうとしないけど。