わんわんわん(赤犬と男の娘部下/下品)

※下品注意


大将赤犬と呼ばれるサカズキのところに新しく転属してきた男は、成人しているなんてとてもで無いが信じられないような女児のような見た目の小さな弱々しい少年だった。しかもサカズキが話しかける度にプルプルとまるで子犬のように震えるので、はじめサカズキの彼に対する印象は最悪であったしさっさと潰れていなくなると思っていた。

けれど意外にも彼は海軍一厳しいとまで言われる赤犬の下で音を上げる事なく勤務をまっとうしたまでか、事務仕事はそこそこ使えるくらいには優秀で戦闘では能力者では無いが背中を任せても良いと思える分には優秀であった。

一年を越えたあたりから赤犬もユウへのそれまでの認識を改めたし、見た目は女のようで軟弱もののそれでも一男であると認めるようになった。まあ、人間見た目なんて自分では選べないのだ。

ある日サカズキの執務室にお茶を持ってきたユウにサカズキは「ユウ、おまえはなかなか優秀な部下じゃけぇ」と初めてほめると。ユウはおなごのような顔で驚いた表情をした後に可愛らしく嬉しそうにはにかんで「ありがとうございます!」と笑って言うので、サカズキはなんとも言えない気持ちになった。






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(主人公視点)


「やべー、今日初めてユウくんサカズキ大将にほめられちゃったよー」


カタツムリ型の電話器で昔の友人にさっそく今日あった事を報告すると、カタツムリはうざったそうに表情を変えた。
カタツムリは相手の表情を正確に表現するので、友人もきっとうぜえコイツといった表情をしている事だろう。


「サカズキ大将を掘れる日も近いのだろうか。どう思う、我が友人よ」
「本当にてめえは顔と中身があってねえな」
「ハハっ、いまさらだろ。こんな俺を愛らしい顔にした神様が悪い。俺だってどうせならもっと背が欲しかったよ。そうすればサカズキ大将をお姫様だっこでベッドに運べただろ?いずれそういう関係になったら気合いでやってみせるけどな」
「・・・嫌なもん想像しちまっただろうが、馬鹿ユウが」


想像したという事はサカズキ大将のパジャマ姿も想像したという事か。このやろう俺のサカズキ大将に変な気を起こすんじゃねえぞ。
そう言えば友人はやはりウザったそうな顔(実際はカタツムリがだが)をしてガシャンと(ガシャンと言ったのもカタツムリだが)電話を切った。

まったく友人甲斐も無い奴だ。

サカズキ大将、早く俺のものになってくれないかなあ。