my resolve
いよいよ今日が魔法対抗試合の最終課題の日の朝となりました。
課題は原作の通り巨大な迷路でしょう。
物語に沿うのでしたら、そこでハリー・ポッターとセドリック・ディゴリーがポートキーであるゴブレットで飛ばされ、セドリックは死にます。
私は原作に関わるつもりなどありません。
だから、この試合でセドリックが亡くなる運命を私はずっと変えるつもりもありませんでした。そう決めていました。
けれど
私は早朝に、誰もいない空き教室で1人窓の外を眺めています。
外はイベント事を催すには申し分ない青空です。このまま雨天中止………とはいっても大嵐になろうと魔法で天候など変えてしまうのでしょうが……これから行うことのために下手に今日課題が行われなくなられては困るので、この晴天は有り難いです。
……ただ、自分の心境とこの晴天は大きく異なるのでなんだかうずうずと違和感を感じてしまいますが。
私は、自分がどうするべきか第2の課題で原作と異なる出来事が起きてから迷っていました。
何もしないことがきっと限りなく正解なのでしょう。そうすれば間違いなくハッピーエンドですから。
ですが、原作が変わったとしても、未来がバッドエンドになったとしても。
これが正解ではない道であろうと私は試してみることにしました。
これから私は直接セドリックに優勝しないように頼んでみるつもりです。
そのためにこの教室に梟を使ってセドリックを呼び出しました。
とは言っても、私の願いにセドリックが従ってくれる可能性は低いと思います。
誰だって努力してきたものを諦めることなんてできません。
ましてや、私の願いなどのためにあれだけ意気込んでいた優勝を諦めるなんて。
ですので私は断られた場合は魔法でセドリックの杖腕の骨を抜くつもりです。
生き物に試したことは無いので不安ですが、仕方ありません。失敗しても死にはしないでしょう。
骨さえ抜けば、ハリー・ポッターがそうであったように再生するまで一夜はかかります。
つまり試合の直前に骨を抜けば、優勝などできません。
残酷に思われるでしょうが、この世界では骨は再び生やせます。
それにこの方法でしたら以前もロックハート先生が不問になったように間違えましたと言えば、大事にならなくてすむかもしれません。
セドリックには確実に恨まれるでしょうが、死ぬよりだいぶ良いですよね。
それにしても私はセドリックが死んでも構わないと思っていましたのに。
これは今まで努力をしてきた魔法省への就職をふいにする可能性だってあります。
それでもこの道を選ぶだなんて。
クィディッチワールドカップや、原作を守る信念以外の道へ気がつくきっかけとなった事に恩を感じているのかもしれませんし、テールやスチュワートのように時間とともに彼に愛着を持ってしまったのかもしれません。
少なくとも私は彼が死んだら後悔すると思うようになってしまいました。
未来を知らなければこんなに辛くないと思ってしまうほどに。
これが色恋でないのは確かですが。
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[mokuji]