correct or incorrect?
セドリックと塔で話した後。
誰もいない夜のスリザリン寮の談話室で、1人黙々と本を読むスチュワートに私は話しかけました。
「スチュワート、貴方はなぜ私の居場所をセドリックにお教えになったのですか?」
本を読んでいらっしゃいましたので、答えて下さるか分かりませんでしたが。
声をかけるとスチュワートは本から私へと視線を移して、あっさりと答えて下さいました。
「そうだな。なんとなくディゴリーに教えた方がいいと思ったからかな」
「私はセドリックへ教えて下さらない方が良いと思いますが?」
スチュワートは何がいいと思われたのでしょうか。
いいことなんて、ありません。私はセドリックと関わりたくなんてないのですから。
「君は最近物憂げになにかに悩んでいるようだったからね」
「それがセドリックに教えた理由でしたらやはり私には分かりかねます。それに………私はそんなに、悩みがあると分かりやすかったのですか?」
人質に選ばれました後、心に思うことはあっても私は平静を装っているつもりでした。
ですのでスチュワートに気づかれていたとは思わず、つい驚きました。
けれど、だからと言ってやはりセドリックに教える理由に繋がるとは到底思えませんが。
「一応6年間級友として過ごしていたからな。君はあまり、弱いところは特に表に出さないけど少し分かるようにはなったと思うよ。それで、悩みの方はどうだ。解決したのか?」
「………いいえ。セドリックと話したことでより分からなくなりました」
「そうか」
スチュワートはまるで予想していたかのように頷きましたので、私は少し腹立たしくなりました。
スチュワートは私が悩みがあると悟ったのは分かりましたが何を考えているのでしょうか。
私はどうしても彼のことを理解できません。
………彼は私の事を少し理解していらっしゃるようですのに。
一番強く感じたのは悔しさです。スチュワートに悩みがあると知られてしまったのもそうですが。
これでは、どちらが子供だか分からなくなります。同い年ですが、精神年齢は私の方が高いはずです。
………いえ、生きてきた長さが長くとも精神的な年が高いとは限りませんね。
「それで、結局何について悩んでいたんだ?良ければ相談にのるけど」
そんな風に言って下さるスチュワートはきっと私よりも大人なのでしょう。
それは情けなくもありますし、けれどそれでもそれが一本の藁であろうと掴みたくなったのは。
私はもう自分で答えを出すことができなくなっているせいです。
私は、どうしたらいいのか分からないのです。
「……………詳しくはお話できませんが。私は自分のしている事が正しいのか、分からなくなりました。私はそれが正しいと思って今まで貫いてきたつもりでしたが。それで本当に良いのか、迷いが生まれてしまったのです」
思わず、私はスチュワートに内容をぼかしながらも悩みを相談してしまいました。
言ってから後悔しましたが。真剣な様子で私の言葉を聞くスチュワートに、私は戸惑いました。
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