Hogsmeade

 私はどこからどう見ても恋愛相談には適さないと思います。


 原作知識からセドリックの好きな人はチョウだとして。
 それならスリザリンの私に話すより、レイブンクローの子に相談したほうが良いと思います。

 たとえ私の寮がレイブンクローだとしても、私に恋の相談はするだけ無駄だと思いますが。
 ウマの耳に念仏、豚に真珠ですよ。微妙に違いますね。・・・・糠に釘でしょうか。

 ……すいません、すこし混乱しています。


 私がそんなことを考えていることを当たり前のことですが気づかずに、セドリックは言葉を続けました。


 「三校対抗試合の代表選手になれば彼女も僕の事を見てくれるかと思ったんだ。でも、目立っていたのは結局ポッターだった。だから僕は彼に嫉妬していたんだと思う。ポッターに霞んで、彼女は僕の事をまったく見てくれないと思っていたし」

 「そんなことは無いでしょう」

 「そうだね、今も昔も彼女は僕の事を見てくれていた。だから僕は嬉しかったんだ」


 セドリックは本当に幸せそうに微笑みました。私はおそらく対照的に困惑した表情を浮かべているでしょう。

 どうやら別に私がアドバイスするまでも無く、上手くいっているようです。

 なら何故私とここに来たのでしょうか。

 せっかく思いが通じそうなのに私とホグズミードに来ていたら、チョウに勘違いされます。それに惚気話とかウザいです。


 「まだ君の言うように、僕は自分に自信が持てていないけど。この試合が終わったら僕は優勝した証のゴブレットを持って彼女に告白しようと思うんだ」

 「……まあ、素敵ですね」


 私は半分棒読みで言いました。

 ……そのゴブレットはヴォルデモート駅への往復切符なのですが。
 ありがた迷惑といいますか、ただの迷惑でしかありません。


 そんな冷めている私に、熱くなっているセドリックは気がついてはいませんでした。


 「そう、かな?彼女が喜んでくれると良いな。だから僕はこの試合優勝してみせるよ、ミリア」





 ……嬉しそうに言う”優勝”と言う言葉に、少しだけ胸が痛くなりました。

 彼は優勝はしますが、同時に死ぬ訳ですから。


 「それでなんだけど。君に、試合に見にきて欲しいんだ」

 「……へ?」

 「君は人ごみは嫌いかもしれないけど、君が応援してくれたら僕は頑張れるから」


 ……チョウの応援で十分でしょう。とはさすがに、今私がセドリックがだれの事が好きだか知っていてはオカシイので言葉を飲み込みますが。


 それにしても試合を見に行くなんて…。クィディッチの混雑でも嫌でしたのに、対抗試合などもっと嫌です。


 「気が向いたら行きますね」

 
 私はとりあえず善処するとだけ返すと、セドリックは嬉しそうに笑いました。

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