your schedule(リクエスト)
(セドリック視点)
ホグワーツ魔法学校では3年次にホグズミートへ行くことができるようになる。
僕は断られる確率が高いとは分かっていたが、ミリアを誘うことにした。
「ミリア!」
廊下を歩いているとちょうどミリアを見かけたので僕が声をかけると。
ミリアは僕へと無表情のまま振り返り、「こんにちは、セドリック。」と返事をして再び歩き出したので、僕は慌てて彼女の肩を掴んだ。
「何か用ですか。」
彼女は少し眉を寄せて、仕方がなさそうに僕へと体を向けた。
機嫌は良くないようだが、珍しく足を止めてくれたことに僕は内心安堵する。
これで僕がグリフィンドールであったなら、何があっても彼女は歩みを止めること無く進んで行ってしまっていただろう。そもそも返事もして貰えない。
「ミリア、良ければ今度のホグズミートへ一緒に行かないかい?」
「行きませんが。」
やはり即答だった。
分かっていたとはいえ、少し悲しくなる。
「もう誰かと一緒に行く約束でもしたの?」
「いえ、そもそもホグズミートに行くつもりもありませんし。」
「ホグズミートに興味がないのかい?」
「そうですね、ありません。」
彼女はかなりの出不精だと思う。
僕は彼女をいつも見ていたが、イベント事にも最小限にしか参加しないし、クィディッチには一度だって観戦に来るのを見たことはない。
学校内でさえ、彼女にとっての必要最小限。つまりは授業以外では食堂や図書館以外でほとんど見かけたことはない。
おそらくは大体の時間は寮に篭っているのだろう。
「行ってみたら楽しいかもしれないよ?たくさんの珍しいお店だってあるし。」
「興味ありません。」
「・・・・・・・」
彼女は付け入る隙を与えてくれない。
「なら、君は寮で一人でいるのかな?」
「一応、スリザリン生はスチュワートも行かないようですし。一人では無いかと。」
スチュワート・バックス…彼も残るのか。
スチュワート・バックスとは彼女と同じスリザリンで、僕たちと同い年だ。
彼もまた、いや…彼女以上に出不精であり、魔法薬学にしか興味のない暗い男だ。
そして、おそらく彼女がこの学校で一番仲が良いのは彼である。
僕はその名前を聞いて、胸の中をかき回されるような気がした。
「…バックスも残るんだ。」
「ええ。まあ、彼もいつもの事ですが。」
「なら、僕も残ろうかな。」
「?」
僕の言葉に彼女は首を傾げた。
「スチュワートに何か用があるのですか?」
彼女は僕に見当違いな事を言う。
僕が用があるとしたら、それはミリアにだけだ。
「いや、彼に用はないよ。ミリアが行かないのなら、一緒に図書館で勉強でもしない?その日ならきっとホグワーツ内は静かだろうし。」
「いいえ、図書館で過ごすつもりですが。勉強は一人でしたいので遠慮させて頂きます。」
「・・・そう。」
これも断られてしまった。
「セドリック、私はそろそろ授業の準備をしなければなりませんので。他に用事はありませんか?」
「あ、うん。大丈夫だよ。時間を取らせてごめん。」
「そうね。それでは、セドリック。」
彼女は否定をすること無く、建て前ばかりの挨拶をすると去っていった。
少し怒らせてしまったかもしれないが、ここまで話せたのは珍しいので話せて良かったと僕は思う。
ホグズミートは断られてしまったが。
けれど、ホグズミートの日の彼女の予定は分かった。
なら偶然僕がホグズミートに行かずに、図書館で勉強をしていても差し支えはないだろう。
彼女の事だから、たとえ目の前の席に僕が座ったとしても、一睨みするだけで何も言わないだろうし。
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宵様、リクエストありがとうございました!
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