Christmas dance party
クリスマス・ダンスパーティの日が来ました。
この日のためにドレスはテールにカタログを送って貰い自分で決めました。
薄い水色の、青系色の色合いがそれぞれ違う花びらを持つ花があしらわれたドレスは着てみるとオーダーメイドのようにぴったりで、綺麗でした。
化粧や髪のセットは前世でも経験がありますし、テールがそういう用の本も用意してくださり、事前に練習もしていましたので魔法も使って自分でセットすることができました。
本当にこういう時魔法の便利さに感嘆します。
用意が終わって寮の談話室に降りて行きますと、色とりどり色にあふれる談話室は化粧や香水で臭かったです。
それを我慢してスチュワートを探しますと、みながそれぞれパートナーや友人と話している中、女性に黄色い声を上げられて囲まれている男の方がいました。
けれど、彼は嫌そうに話しかけてくる女の子を無視していました。
囲まれている人は長めの黒髪をこげ茶色のリボンでまとめ、ピッシリと糊の効いた藍色のドレスローブを優雅に着こなしています。
…すごく嫌な予感がして私がそれを眺めていると、彼は鋭い目を少しだけ見開いて私を見ました。
「ミリア」
彼はスチュワートと同じ声で私の名前を呼びましたので、私は反射的に逃げたくなりました。
メガネ外して無精ひげ剃ったら確かに見目良くなるのではと思っていましたが、……何故今そうしたのですか。
スチュワートは女の子達を押しのけるようにして私の前まできました。
「スチュワートでしたか」
「?当たり前だろ。君のドレス姿は初めて見たな。とても似合っている」
「ありがとうございます。スチュワートもとても素敵です。今日はメガネと無精ひげは無いのですね」
「みっともない格好で女性に恥をかかせる訳が無いだろう」
「普段からそうしていれば女性にも人気でしょうに。」
女性がキャアキャア言うのも分かります。きちんとした佇まいのスチュワートは性格の悪い王子と言った容姿です。
普段がマッドサイエンティストなので余計にそれが際立って見えます。
「女に人気で何が良いのか分からない。」
スチュワートは首をコテンと傾けて言いました。
本当に彼は薬草や一部の後輩にしか興味が無いようです。
「とりあえず、ここにいると視線がウザいから行くぞ」
「ええ、そうね」
女の子たちがチラチラとスチュワートを見ています。いえ、その中には男性の視線も交じっていました。
おそらくそれは彼が誰だか不審に思っている人の視線でしょう。
「ミリア、手を貸せ」
スチュワートは私へ手を差し出しました。エスコートして下さるようです。
それに私も礼儀に沿っての礼をするとスチュワートの手を取りました。
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