shall we dance?
課題のあった次の日、私が廊下を歩いているとセドリックに会いました。
なんだか最近セドリックとの遭遇が多い気がします。
はじめセドリックは女性に囲まれていましたが、私に気がつくと私の方へ近づいてきました。
それに気がついた女性達が私を睨んでくるので、いい迷惑です。
「やあ、ミリア」
私はチラリとだけセドリックを見て、挨拶だけして横を通り過ぎようとすると。
セドリックに腕を掴まれました。
「何の用ですか?」
「少し、二人で話をできないかな?」
「……はい?」
私はとりあえずセドリックの手を振りほどこうと手を振りますが、まったく離してくれないので私はイラっとしました。
「本当に少しで良いから」
セドリックは縋るように私に言うので、周りの女子の視線がますます痛くなります。
「・・・・分かりました。少しだけなら構いませんが、早くしてくださいね」
「ありがとう」
睨むようにそう言うと、セドリックは爽やかに笑いました。
私たちは人通りの無い廊下にまで場所を移しました。
「それで何の用でしょうか?」
「うん。僕、第一の課題をクリアすることができたんだ」
「そのようですね」
「それで昨日は観客席まで見る余裕が無かったから分からなかったんだけど、君は見に来てくれたかな」
「ええ、貴方の試合だけは見に行きました」
「………えっ、僕のだけ?」
「貴方とは一応約束がありましたから」
「そう、嬉しいよ」
私は第一試合を不本意ですが、どうせ時間はありますし実物のドラゴンを見てみたかったので見に行きました。
私の言葉にセドリックは本当に嬉しそうにはにかみ笑いました。
「話はそれだけですか?」
「いや、ミリアは・・・・今年のクリスマス・ダンスパーティに参加するかい?」
「ええ、参加しますけど」
今年はスチュワートと約束していたので私はすぐに頷きました。
するとセドリックは驚いたように目を見開きました。
「え?………もしかして、ミリア。君はダンスのパートナーがいるのかな?」
「はい。そうでなければパーティなんて参加しません」
「そんなっ。相手って誰?……もしかしてバックス?」
「はい、そうです」
相手がスチュワートとすぐに予想されたのに少し私は眉を寄せました。
別にスチュワートが嫌いな訳ではなく、私のダンスのパートナー=スチュワートと思われているのが少し気に食わなかったからです。
スチュワートとはよく一緒にいるので、なにかとセットにされることは分かってはいましたが、誰かとセットにされるのは好きではありません。
「今まで君は、必要以外のパーティに参加することなんて無かった気がするけど」
「はい、そうですね。誘われた相手がスチュワートでなければ私は断りましたし」
「………それって、僕でもかな?」
「当たり前じゃないですか」
セドリックとダンスパーティに参加するなんて、いろいろな意味で嫌です。
私がハッキリとそういうとセドリックは表情を消し、光の無い目で責めるように私を見ました。
どうやら、セドリックは怒っているようです。それははじめて見る表情でした。
なぜ彼にそのような表情をされなければならないのか、意味が分かりません。
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