Hogsmeade
三本の箒とはカフェバーのような場所です。
この店の一番人気はバタービールという、ノンアルコールの飲み物です。私は寮で飲んだ事がありますが、濃厚で甘いミルクセーキのようなイメージを名前から持っていましたが、実際飲むと甘さは控えめで飲みやすかったです。
中に入って二人掛けのテーブルに向かい合わせに座ると、お互いバタービールを頼みました。
「ところで、貴方は次の課題の準備はどうですか?」
「いや、そこまで準備はできていないかな」
私が聞くとセドリックは困ったような表情をして答えました。
「どんな試験が出るか分からないから。歴代の課題を調べてはみたけど、学問関係から実技まで課題の範囲が広くて予想ができないからね」
どうやら彼はこの時点ではドラゴンが課題だとは知らないようです。
ですがいずれ、原作通りにハリーが課題を明かすでしょう。
「そうですね。まあどのようなものであろうと、培ってきたものがあるのならこなせる課題になっているでしょうね」
「そうだと祈りたいな。……いや、僕は大丈夫だよ!」
突然、声のボリュームを大きくして断言するように言うセドリックに、私は思わず肩を揺らしてしまいました。
周りが賑やかだったので今のセドリックの声に反応した人はいませんでしたが、まっすぐ前に座っていた私は驚いてしまいました。
言い切るとセドリックはふわりと微笑みます。
「ごめん、驚かせて。けど、僕は少し自信を持つように頑張ってみようかと思ったんだ。君が前に言ってくれたように、確かに僕には自信が足りていないなと思って」
「そうですか」
「前はありがとう。僕の話を聞いてくれて。僕は焦っていたんだと思う。来年が最終学年なのに、何も達成できないまま終わってしまうのが」
確かに私達は来年度で卒業です。
私としては早くこの二年が終わってほしいと思いますが、彼は違うようです。
「だから僕は代表選手に立候補したんだ。……実はね、その一番の理由は少しでも好きな人に見て欲しかったからなんだ。あまり褒められた理由じゃないだろうけどね」
「・・・・好きな人、ですか?」
「うん、ずっと昔からどうしても好きな人がいるんだ。けど、彼女にとって僕はいつだってその他大勢で、彼女は僕を見てくれなかった」
そうセドリックは少し顔を赤く染めて言いました。
セドリックには好いている方がいるそうです。
………………。
どこからどうして恋の話になってしまったのでしょうか。
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