can't celebrate2/2

 セドリックが出場することが嬉しいものでは無いのは事実です。これで嬉しかったなら私は最低過ぎるでしょう。
 セドリックは私の言葉に眉間の皺が深くなります。


 「それは僕がハッフルパフだから?」

 「違います」

 「なら、なぜ?」


 貴方は死ぬ運命だと伝えるわけもないので、私はまたもや返答に困りました。
 それをセドリックは勘違いして受け止めたようです。

 
 「それはポッターが代表選手だからかい?」

 「は?」

 「ポッターに比べたら僕は霞んでいるからね。僕が代表選手なんて肩書きだけだ、今注目されているのはどんな理由であれポッターだ。僕が代表選手になったなんて、君もどうでも良いんだろう。今は周りもちやほやしてくるけど、それも彼への当てつけが多く含まれているしね」


 セドリックは吐き出すように私に言いました。
 おそらくは溜め込んでいたハリーへの嫉妬が溢れ出したのでしょう。

 確かにセドリックは代表選手になったにも関わらず新聞に名前も乗りませんでしたし、今校内でも注目されているのはたとえ悪い意味でもハリーです。

 ・・・けれどそれを何故私に言うのか意味が分かりません。同じ寮の人に親しい人にでも相談すれば良いと思います。
 

 「セドリック、貴方って馬鹿ですね」

 「馬鹿?」

 「貴方が霞んでいたら、私を含めて学校のほとんどの人が霞んでいます。嫌味よ、貴方の言葉は」

 「え、そんなつもりは」

 「私はポッターについてはどうとも思っていません。グリフィンドールなんてどうでもいい。けれど、貴方も6年生になっているのだから分かるでしょう?ダンブルドアや大人の魔法使いを出し抜いて4年生が違法行為をするのがどれだけ難しいことか」


 みなが生き残った子だからといってハリーには特別な力があるに違いない、その力で不正を働いたと勘違いしていますがそんな特別な力でゴブレットに名前を入れられるならダンブルドアがハリーを警戒しないはずがありません。
 低学年が勘違いするだけならまだしも、上級生がそれを分からないなんて、なんて情けない。

 ・・・とは思ってもそれは原作を知っているから言えることなのかもしれませんが。
 それに私は前世の分人より長生きしているので、他と比べるのはフェアじゃありませんね。

 もし、知らなければ私はどのように判断していたのでしょうか。
 
 
 「君はポッターが名前をゴブレットに入れたとは思っていないのかい?」

 「私は思っていません。彼には不可能だったと思いますし、この場合は大人の魔法使いを疑う方が適切だと思います」

 「つまり君はポッターは悪くないから。僕にそんな嵌められたポッターを守れといいたいわけ?」

 「いいえ」


 私は間も置かずに首を振りました。どうしてそういった結論になったのでしょう。
 ハリー・ポッターなど、死んだとしても構いません。
 いえ、死ぬのならヴォルデモートを倒してからにしてほしいですが。


 「私はポッターを試合に参加させた者に気をつけるよう貴方に言っています」

 「え?」

 「ポッターを代表選手にして何を企んでいるのか知りませんが、何かをするつもりでしょう。それに巻き込まれないように考える事の方が、ポッターが注目されていることを気にかけるよりも建設的だと思います」

 「巻き込まれないように・・・」 


 セドリックは何か言いたそうに私を見ました。
 突然の情報に言葉が出てこないのでしょう。

 戸惑っている今、すぐに言葉を理解できるとは思わないので構いません。戯言だと思わずに理解しようとしてくださっているだけでも彼は優しい人てす。


 「それにセドリック、貴方はもっと自分に自信を持ちなさい。エイモスさんが言ったように貴方、自分に自信が無さ過ぎです。それに私はとてもイライラします」

 「ミリア……」

 「貴方はたくさんの素晴らしい肩書きをもっていますが。その影でたくさんの努力をしてきたことを知っています。努力でせっかく勝ち取ったのに、それを自分で認めないなんて腹立たしい」


 私はやっと、何故セドリックが無駄なくらい努力をしているのか分かった気がします。
 彼はどれだけやっても自分に自信が持てないのでしょう。
 様々なものを持っていながら、自分ではそれが見えないのだと思いました。


「セドリックっ!早く食事に行かないと飯食い逃すぞ」


 セドリックの後ろから、ハッフルパフ生の男の子と女の子が駆けてきてセドリックに言いました。前にクィディッチワールドカップでセドリックに話しかけた人たちです。
 二人はセドリックにそう言いながらもいつものようにジロジロと私を見てきました。女性の方からは嫉妬心が伺えます。
 おそらく彼女はセドリックに懸想を抱いているのでしょう。
 それくらいは分かります。


 「それでは、私は失礼します」

 「・・・うん。ミリア、ありがとう」


 セドリックは何故か私にお礼を言いましたが、私はそれに言葉は返さずに自分の寮へ向かいました。
 

 部屋に戻りながら思いましたが。
 いくらイライラしていたからと言っても、自分の考えばかり話して・・・大人気なかったと思い反省しました。

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