World CupZ

 私達はセドリックと別れ、テントまで戻って来ました。


 時計を見ると、試合が始まる時間はまだありましたので。私はテールにもしも誰か来た場合の対応は任せて奥の部屋で読書をする事にしました。

 魔法界のテントは外観は小さくとも、中はまるで一軒家のように広々としているので快適です。


 私は持ってきた鞄の中を見て何を読もうか迷いましたが(ちなみにこの鞄は何を入れても一定の大きさと重さにしかならない物です)、6年の防衛術の教科書を手にとりました。


 そういえば、今年はムーディに変したクラウチJr.が防衛術の先生ですね。

 まあ、授業はきちんとやって下さるようなので。私には問題は無いでしょうが。
 『ハリー・ポッター』の本の内容を細かい部分は覚えていないので、去年校内でシリウス犬とすれ違ったような遭遇には注意が必要ですね。

 以前シリウスと会った時は驚きました。・・・といいますか、あんな大きな犬が校内に潜り込んでも分からないなんて、魔法があるくせにホグワーツのセキュリティーはどうなっているのでしょうか。
 大勢の敵がアニメーガスになれたならどうするのでしょう。もし忍び込むのが簡単なら、私がヴォルデモートでしたら泣き言を言おうが動物になれるようにするよう指示しますが。


 ・・・やはりすべてダンブルドアが仕組んでいるのでしょうか。シリウスを入れた事も。
 たまにあの人の行動を見ていると、彼もトリップした人ではないかと疑いたくなります。私でも有り得たのですから、彼もそうだとしても不思議はありませんし。
 そうでなくとも。少なくとも、未来が分かる人ではないかとは疑っています。


 とはいえ、校長が何であれ。とにかく、私の周りで何も起こらなければそれで良いです。






 それから私は一時間程本を読みしまして、混み始める前にとテールと早めにテントを出ました。

 試合会場へ行く途中の屋台は、たくさんの子供の購買欲をそそる色とりどりな物が溢れていて、とても賑わっていました。
 ただ全てクィディッチ関係の物でしたので、私はそれを眺めながら指定の席まで行きました。



 スタンドは、先ほどセドリックと来た時よりだいぶ席が埋まっていました。
 私たちの席は前列の、無駄に観戦するには良い場所でした。
 おそらくはこのチケットを両親に下さった人はとても裕福な方だったのでしょう。私の席の周りには品の良い人たちでばかりです。
 お礼でチケットを頂いたと話していましたが、誰に何をしたのでしょうか。両親が送ってくる写真を見るからに、いつも魔法生物が写っていらっしゃるので。魔法生物系の仕事をなさっているのだとは思いますが・・・。


 そんな事を考えてから、私はテールと並んでスタンドの席へと座り試合を待ちました。



 周りがうるさい事は想定していましので、私は防音のレベルを調整できる耳当てを持参していました。やはり買っておいて良かったです。
 一気に周りの音が静かになりました。

 私はテールがティーセットを用意してくれたので、快適に試合を待つことができました。





 そして、一時間ほど経ちまして。
 クィディッチは原作通りに、はじめにそれぞれのチームのパフォーマンスが始まりました。

 それから試合が始まると、クラムというシーカーが金色のスニッチを取り、すぐに決着がつきました。






 私は試合が終わると同時に席から立ち上がりました。
 私の周りも立ち上がっている人が多かったですが、それは試合の喜びと興奮を体で表現する為です。帰る訳ではありません。

 そんなスタンドで人が盛り上がる中、私はテールを連れてテントへ戻るために座席横の階段を上がりました。


 戻る途中、セドリックから聞いていた彼の席に近い通路を通りがかったので。私はふとその席を見ました。

 セドリックはエイモスと共に満面の笑みで、周りと一緒に盛り上がっているのが見えました。
 やはりクィディッチをしているだけあり、クィディッチがとても好きなのでしょうね。クィディッチを語って下さった時も楽しそうでしたし。


 私はセドリックを一目だけ見て、すぐに視線を外してまっすぐテントへ向かいました。


 まだ闇の軍勢だか痛い集団がやって来るには時間がありますが、早く帰るに越したことはないのですから。







 あれから。私はテールにテントを片付けてもらいすぐに屋敷に帰って来ました。


 「お嬢様、クィディッチは楽しかったでございますか?」


 テールが屋敷で紅茶を頂いていると、丸いおぼんを持ち私に聞いてきたので私は彼に微笑んで返しました。


 「ええ。行って良かったわ。テールは楽しかったかしら?」

 「そうでございますか!テールはお嬢様が楽しんで下さっただけで嬉しゅうございます!」


 テールはギョロリとした大きな目を細めて笑いました。

 ・・・私はテールが楽しかったかどうかを知りたかったのですが。


 まあ、今彼が耳をパタパタさせている事から、機嫌が良いという事で良しとします。

 クィディッチの試合中は耳当てをしていても煩かったですが、パフォーマンスなど楽しかったと思います。
 


 ・・・・少しだけ、箒に乗るのも楽しそうだと思いました。












〜〜〜〜〜

感想無い割に、実はそれなりに楽しんでいた夢主。


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