World CupV

 私はそんな驚くセドリックを無視して言葉を続けました。


 「お久しぶりです、セドリック。こちらのお方は?」

 「え、あぁ・・久しぶり、ミリア。こっちは僕の父だよ。お父さん、彼女は学校の同級生でミリア・ファストって言うんだ」

 「ミリア・ファストです。どうぞ、お見知りおきを」


 私はセドリックに紹介され、エイモスに作法に則りお辞儀をいたしました。
 このような礼儀作法は小さいときに、母親からそれはもう厳しくしつけられております。


 「これは丁寧に。はじめまして、可愛らしいお嬢さん。私はエイモス・ディゴリー、魔法省で『魔法生物規制管理部』に勤めている。あぁ、君の話はセドリックから聞いているよ。君はセドリックの次に成績が良いらしいじゃないか。次点とは言え、学業の成績が良いことは素晴らしいことだ」

 「お、お父さん・・・彼女は飛行術や座学が少し苦手なだけで、それ以外は学年で一番に優秀だよ」


 エイモスが私を表面的に誉めましたので、セドリックはエイモスの言葉をフォローしようと慌てたように言いました。

 まあ、彼の息子のセドリックが成績トップなので私からしたらエイモスの言葉は嫌味になるでしょう。

 私は別に構いませんが。彼は空気の読めない男ですね。


 「おまえは本当に謙虚だな、セドリック。成績とはすべてを兼ね揃えて判断されるのだよ。もっと自分に自信を持ちなさい」 


 エイモスは咎めるようにセドリックに言いました。
 やはり、分かってはいましたが先ほどのはただの自慢だったようです。

 私もそれに同意をするように、笑顔を絶やさずに頷きました。


 「ええ、セドリックはクィディッチのシーカーを務めていらっしゃるのに学業も秀でていますし。とても優秀なお方だと、私も尊敬してます。私は勉学だけですので、彼を見習いたいと常日頃思っていますもの」


 そう言って私がセドリックに微笑みかけると、セドリックは照れたのでしょうか顔を赤くしました。

 後半は嘘ですが前半は本音です。

 彼は他寮の私から見てもとても努力しています。私は努力をする人は好ましいと思います。思うだけですが。

 けれど、そんなに頑張って、いったい彼は何を目指しているのかとも思います。 


 私の言葉にエイモスは感心したように頷きました。


 「なかなか良くできたお嬢さんじゃないか。・・・・ところで、君はどこの寮なのかな。レイブンクローかい?」




 ・・・セドリックは私の寮までは言っていなかったようです。

 まあ、他寮から快く思われないスリザリンとは言いづらいでしょうし。

 私は困ったような表情を作りました。


 「いいえ、私はスリザリンに所属しています」

 「なんと・・・・そうなのか!?」

 「はい、その・・・あまり好かれる寮ではないと思いますが。それでも、私に優しく接して下さるセドリックには感謝をしております」


 ・・・・実際はいつも挨拶される度に、逃げていますが。


 エイモスは私がスリザリンということに困惑しています。彼もまたスリザリンに良い印象を抱いていないのでしょう。
 私にとってみればどうでも良い事ですが。


 「申し訳ありませんが。そろそろ戻らなければ共に来た者が心配してしまうので失礼させていただきます。セドリック、また学校で会いましょうね」


 「あ、待って、ミリア」
 
 
 私が思ってもいない言葉を言い、早急に去ろうとしますと。セドリックが私を引き止めてきました。

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