Do not die…

(スチュワート視点)

 ハリー・ポッターが叫びの屋敷へ入るのをこっそりと見届け俺はそのまま待機させていた不死鳥フォークスと屋敷しもべのテール、そして何故か付いてきていた黒猫のクロと一緒に暴れ柳から屋敷へと入った。
 一応ヴォルデモートには蛇もいると聞いていたから気取られぬよう隠密魔法も使った。

 そして俺はアニメーガスである黒蝶の姿のままギリギリまで彼らの成り行きを見守った。

 スネイプ先生の銀色の物質を掬い終わると同時に俺は姿を戻し駆け出した。


 「スネイプ先生!!」


 三人は現れた俺を警戒したようだが、それよりもすぐ後にやってきたフォークスに驚く。

 フォークスは美しい鳴き声を上げ、スネイプ先生の首もとに降り立つと蛇に噛まれた傷口へ涙を流した。
 俺も用意していた増血剤を先生の口に含ませる。
 先生の顔色は青い。


 「死なないでください。先生」


 俺は必死に呼びかけた。
 死んでほしくはなかった。
 スネイプ先生に懐いていたクロもそばに寄り心配そうににゃあと鳴く。


 「先生は逢うために死にたいのかもしれませんが。ごめんなさい。俺は……俺たちはスネイプ先生に死んでほしくはありません」


 俺はスネイプ先生に声をかけ続ける。
 グリフィンドールには分からないだろうが。
 俺たちにとってスネイプ先生は一番の良き理解者であり、厳しくも優しい先生なのだ。失いたくはない。


 「ハリー・ポッター」

 「……はい」


 俺は背後にいるハリー・ポッターへと振り向かずに声をかけた。


 「お前はやることがあるだろう。行くといい。そしてそれを使ってくれ」


 俺はできるだけ淡々と、スネイプ先生を見下ろしながらそう言った。



 守りたかったのが結局は彼だけだったとしても、俺は貴方に感謝しています。

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