Battle of Hogwarts2

 校庭の戦いは吸魂鬼や巨人、蜘蛛までもが入り乱れました。

 一つの油断で命を失う戦いの中、私はセドリックのそばで戦いました。

 赤と緑の閃光が飛び交います。

 私も守護霊をつくり出し、守護霊に守らせながらも戦いました。私の守護霊を見て一瞬隣で戦っていたセドリックは驚いた様子でしたが、すぐに戦いに集中しました。

 容赦のない魔法が私の肌にも赤い線をつくっていきました。
 小さな傷など気にしてはいられません。恐怖など気にしてはいられません。
 私は死喰い人へ杖を向け呪文を唱えました。



 どれくらい戦ったでしょうか。
 時間など分かりません。

 私は夢中で戦っていましたが、突如空から現れた巨人の棍棒の落ちる凄まじい衝撃に、私は驚き隙ができてしまいました。

 ちょうど私を狙っていた緑色の閃光が私へ向かって放たれます。
 死の呪文です。

 ……死ぬのでしょうか。

 分かってはいても防ぐ余裕はありません。

 死を意識すると妙に落ち着いた気持ちで私はそう思いました。

 けれど呪文を見つめる私の視界は温かさとともに暗くなりました。

 すぐに分かりました。セドリックに抱きしめられていることに。

 これではセドリックが死んでしまいます。


 「ミリア」

 「セドリック」


 私たちはお互いの名前を呼びました。


 「プロテゴ 護れ」


 響いた第三者の声に魔法のぶつかり合う衝撃を感じ、同時に周りの喧騒が激しくなりました。

 私は抱きしめられた腕の隙間からその光景を見ました。

 校庭には先ほどまでいなかった白いローブを着た人たちが突然現れ死喰い人と戦っています。
 そしてその白いローブには『くたばれヴォルデモート!』と大きく書かれています。

 味方……なのでしょうか。


 「ミリア、私の可愛い娘!無事なようで良かったよ」


 先ほどの盾の呪文の声の主は自らも白のローブを羽織って私へ場違いなとても嬉しそうな満面の笑みを浮かべて近寄ってきました。


 「お父様」


 会うのは15年ぶりですが、手紙の写真で見ていた通りの父がそこに立っていました。

[ 106/179 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]