Do not die2

 セドリックとの手を離し大広間に少し遅れて着きますと現れた私にスリザリン生の視線が突き刺さりました。
 私がいることが意外でしたのでしょう。私自身も意外だと思いますので仕方がないですが。

 私たちは他の騎士団の人たちと共に大広間に控えていますと、おおよそ全員が集まったところでマクゴナガル先生による指示が飛びました。
 成人に満たない子、戦いたくない者は学校から避難するように話していますと、部屋の中にヴォルデモートの冷たい声が響きました。
 彼は真夜中までにハリーを差し出すように求めました。
 つまり真夜中が戦いの始まりです。




 「ミリアさん」


 避難する子たちを見送っていますと、私は声をかけられました。
 それはドラコでした。彼一人です。少し離れたところにクラッブとゴイルがいました。
 二年ぶりに見る彼は身長も高くなり立派に、青年らしくなったと思います。


 「ミリアさんはどうしてここにいるんですか?まさか戦う訳ではないですよね?」

 「ええ、私もホグワーツを守る戦いに参加するつもりです」


 私はドラコへしっかりとそう伝えました。それにドラコは目を見開き、私を睨みつけます。


 「何故ですか。裏切るつもりですか」

 「裏切るも何も私はあの男に組したことはありません。それに、私に何故と問うのでしたら私も貴方に何故と問います。何故貴方はあの男に従うのですか?」

 「そ……それは血を守るためだ」

 「血を?ヴォルデモートは血を守ってくださっているのですか?では彼はその大切な血をどれだけ流しているのです?」


 彼によって数少ない血を失っていますのに何故みなさん信じることができるのでしょうか。
 いえ、分かっています。
 ヴォルデモートは強力なために盲目に成らざる得ないのですよね。それだけヴォルデモートは魔法族の中でもお強いですから。


 「私は、魔法族の血を守りたい気持ちは分かります」


 私の言葉にどうやら勝手に私の話を聞いていたらしい近くにいた騎士団やダンブルドア軍団の人がざわつきましたが無視をしました。


 「それは当たり前の感情でしょう。例えばイギリス人の血が足りないからフランス人と混ぜると言われたら拒絶する人も少なくはありません。人はそう広がることを恐れるように出来ています」


 ですから私は人の性である血を守ろうとする気持ちを否定するつもりはありません。好きにしたら良いです。
 けれど。


 「私は守ると言いながら踏みにじるヴォルデモートが嫌いですので戦います。ヴォルデモートは強力で凶悪ですがそれでも私は守りたいのです。大切な人たちを」


 私は強くドラコへ宣言しました。ずっと私は逃げていましたが、もう決めたことです。


 目の前にいる今にも泣きそうな顔をする、可愛い後輩だって私は守りたい。

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