World CupT
6年生になる前の夏休み。私はクィディッチ・ワールドカップのキャンプ場に屋敷しもべ妖精のテールとともに来ました。
クィディッチ・ワールドカップは世界中から魔法使いが集まるので、キャンプ場はだいぶ人が多く混雑しています。
私ははじめこれに来る気など全くありませんでした。
そもそもクィディッチだって学校で一度も見に行ったことはありません。
理由はいろいろとありますが、一番の理由は興味が無いからでした。
・・・・そんな私がなぜここに来たのかと言うと、話は少し前に遡ります。
夏休み中の朝。
私はいつものようにテールの用意した朝食を頂いていると、テールが慌てた様子で私のところに来ました。
「お嬢様、ご両親からお手紙が届いております!」
私はそれに、珍しいと思いながらテールが差し出した手紙を受け取りました。
両親が私に手紙をよこすのは一年に一度くらいです。
以前、送られてきた手紙にはドラゴンに髪を焼かれただとか、イギリス最大の食人植物と仲良くなった、だとか意味分からないことが書いてありました。
私はとりあえず、手紙を読むことにしました。
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愛するミリアへ
お元気ですか。パパとママは元気だよ。ミリアはどうかな?私たちの子だから心配はしていないが。
今パパとママは・・・ああ、これは言ってはいけない事だったね、HAHAHA!
まあ、危険な仕事じゃないから安心して。少し危ないだけさ!
・・・・・・(中略)
さて、そういえばそろそろクィディッチ・ワールドカップらしいね。
パパとママが学生だった時はまったく興味なくて観もしなかったけど、ミリアはどうだい?
実はそのチケットを今年、偶然助けちゃった人がくれてね、パパもママも興味ないからミリアにあげるよ。
二枚あるし、誰か良い人と行くといい。
あ、結婚する前にはちゃんと教えてね!
パパとママより
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・・・とりあえず、二人は元気そうでした。
手紙には何か猪のような見た目の巨大な生き物に乗って笑顔で手を振る二人の写真と、ワールドカップのチケット二枚が同封されていました。本当に彼らは何をしているのでしょう。
私はチケットを眺めました。
行く気は正直ありません。
ワールドカップと言ったら原作にも登場しますし、人ごみもありますし、ワールドカップの夜に闇の魔法使いがキャンプ場へ来るのを覚えています。
「お嬢様、お行きになるのですか?」
テールが大きな耳をパタパタと動かして聞いてきました。
彼のそのしぐさが長い付き合いだから分かります。彼は私がここに行くのを期待しているのでしょう。
・・・・確かに、夏休みは本と学用品を買う以外は家に引きこもっている私です。
どんなことであろうと、外へ出ることは嬉しいのでしょう。
それに両親から送られてきたものですし。
・・・まあ、いいですか。
夜の騒動に巻き込まれないように試合の後にすぐ帰れば良いだけのことですし。
「そうね。お父様達がせっかく送ってくださったのだし。二枚ありますのでテール、一緒に行きましょう」
私はテールの言葉に頷きました。
私の言葉にテールは元から大きな目をより見開きました。
「ご一緒にですか?」
「ええ、私に良い人なんていないし。貴方がいれば便利だもの」
私が彼にただ一緒に行きたいと言うと、必ず「そのような身分ではございません」とかいろいろ言ってくるので私は敢えて便利だからだと言いました。
そういうところは少し面倒臭いと思ます。
テールは大きな目をぎょろぎょろと動かし、迷いながらもそれに「身に余る光栄でございます」と返事をしました。
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