graduate

 七年生最後の日になりました。今日で私たちはホグワーツを卒業です。

 思い返しますと本当にホグワーツでは様々なことがありました。
 入学してスリザリン寮に選ばれたこと。
 セドリックと再会したこと。
 スチュワートと友人になったこと。
 その他のたくさんの出会いに学びに事件……。
 思い返せば切りのないできごとがここにはありました。

 入学したときは早くこの日になってほしいと思っていましたが、最後となってみるとやはり寂しく感じます。


 ホグワーツ急行に乗る前に私はドラコから小さな白とピンク色の花束をもらいました。
 卒業祝いのものらしいです。
 彼の家は今は大変でしょうに、それなのに用意をして下さったことが嬉しくて、私は彼に礼を言いました。
 ドラコは始終目を合わせてくれませんでしたが。



 ホグワーツ急行内ではスリザリンの七年生全員で広いコンパートメントに乗りました。
 私はスチュワートと一緒に隣同士で隅の方に静かに座っていました。
 スチュワートの荷物の上には私と色違いの白と青色の多い花束がありました。彼もドラコから貰ったのでしょう。


 セドリックとは医務室で話した時以来もう挨拶程度しかしていません。
 私は卒業前にその、去年の話の続きをされるかと思っていましたので構えていましたが結局それはありませんでした。

 そもそもセドリックのような人が私を好きだなんてありえない話でしたしね。
 予期していた通りに私に対する思いは勘違いだったと気が付いたのでしょう。
 バレンタインの時は私の勘違いだと分かりましたが、今回はさすがにそういうことでしょうね。


 本当にありえない話です。ありえない出来事でした。

 去年告白じみた事を断っておいて良かったです。
 そうでなければもっと…。



 私はコンパートメントで楽しそうに騒ぐ同級生たちを見ました。
 前はただの物語だとフィルターのかかっていた光景が、今は色鮮やかに見えるような気がして。



 少し、泣きたくなりました。

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