the putted of fate2
ミリアに会うことができたのはホグワーツに戻って二日目の夜のことだった。
僕はホグワーツに戻り身体中に怪我を負っていたため、他のメンバーと共に医務室へ入院することになった。
最初の土曜日は人が途切れることなく見舞いに来てくれた。親からの心配の手紙も届いた。
けれど、ミリアが現れることはなかった。
次の日の日曜日。
生徒が夕食を取る時間帯なので僕の見舞い客が誰もいないとき、ずっと会いたかったミリアは少し医務室の中を伺う様子で現れた。
僕はそれを見つけて思わずミリアの名前を呼ぶと、ミリアは少し顔をしかめながらも部屋に入りまっすぐと僕のいるベッドまでやってきた。
ずっと会いたかった彼女に会えて僕は嬉しかった。
ミリアはたくさんの本を手に抱えていたので図書室の帰りかと思ったけれど違った。
彼女は僕の見舞いのためだけにここに来て、持ってきた本は僕の見舞いの品だったらしい。
それを耳ざとく聞いた同室のロン・ウィーズリーはたくさんの本を見て吐くような真似をしたし、読書家のハーマイオニー・グレンジャーは本のタイトルが気になるようで首を伸ばして見ようとしていた。
普段の僕なら後輩が気になるというなら本を貸していただろうけど、これは貸すつもりがないから僕はその視線を無視した。申し訳ないとは思うけど譲れない。
見舞いに本を持ってくるなんて彼女らしい。
実はすでに同じ寮の友人に暇つぶし用の本を借りてきてもらい、ベッド横の引き出しの中に入っているけど。僕はもうそれらを読むのをやめた。
だって見舞いの品とはいえはじめてきちんとミリアから貰ったプレゼントだ。
これ以上のものなんてあるだろうか。
僕は嬉しくてミリアへお礼を言うとミリアは照れている様子で視線を逸らし「つまらなければ捨てて下さっても構いませんから」と言ったけど、もちろんそんなことは有り得ない。
ミリアはその後すぐ帰ろうとしたので僕は引き止めた。
やっと会えたのだし、また彼女が見舞いに来てくれるとも限らない。少しでも長くいたかった。
断られるかとも思ったけれど僕の見舞いに他の人が来るまでという条件付きでミリアは頷いた。
本当は夕食が終わったのか同じ寮生が静かに医務室の扉を開いて来たけれど、ミリアがいるのを見てニヤリと笑うと静かに去っていった。
医務室の扉はミリアの背後にあったからミリアは気が付いてはいない。僕は友人に感謝した。
友人のおかげで門限の時間までミリアと話をすることができた。
この神秘部での戦いで僕は闇の帝王の復活を知り、命を落とす危険にあった。
あの人が復活し、ハリーと共に戦った今、もう僕は闇の勢力から嫌われる立場になってしまっただろう。
考えるのはミリアのことだ。
昨年度の三校対抗試合でミリアはゴブレットがポートキーであることを明かしてくれた。
あの時はなぜ知っていたのか理由は聞かなかったけれど。スリザリンで聞いたのか、それとも彼女自身が闇に属していることも考えられる。
どちらにせよ、僕はもうミリアに関わり過ぎることはできない。
本当は、卒業と共に再びミリアに告白をしたかった。
でもそれは諦める。何より優先したいのはミリアの安全だから。
ミリアを失ってしまうことが一番怖いことだ。
だからといって、それでも僕はミリアを諦めるつもりはない。
平和な世界でミリアに思いを告げよう。
ミリア、僕はこの世界の誰よりも君を愛している。
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