first contact×girl:c

 二年後に私は再びノクターン横丁で出会った彼と会うことになりました。


 私がスリザリン生としてホグワーツに入学した次の日の朝。

 朝食を終え、教科書を取りにいく為に私は寮へ続く廊下を歩いていました。


 「ミリア!」


 道すがら私を呼ぶ男の子の声が聞こえたので、思わず振り返りそうになりました。

 けれど私の名前はありふれた名前だと思うので、それが私とは限らないと気がつき私はそのまま進みました。
 私に声をかける人を思い浮かばなかったこともその理由です。


 けれど、そんな私の腕は誰かによって掴まれました。
 同じようにすぐ後ろから「ミリア」と呼ばれたので、どうやら呼ばれていたのは私のようだと分かりました。


 振り返ると私を呼んだ人は同い年くらいの顔立ちの整った男の子でした。


 ・・・いいえ、真新しい制服からして同い年なのでしょう。

 グリフィンドールなら面倒くさい事もありえそうなので、ネクタイを確認すると彼はハッフルパフ生でした。


 「何ですか?」


 ハッフルパフならば、安全かと私は彼の方へ向き直りました。

 「君にお礼を言いたくて。二年前の事覚えてる?ノクターン横丁で迷った時に君に助けて貰ったんだけど」

 「・・・・・・ああ」


 私は少し考えてダイアゴン横丁に行ったときの男の子を思い出しました。
 よく見れば成長はしましたが、面影があります。


 現在まで覚える気もなかったので忘れていました。


 もし私がアクティブで、足しげくダイアゴン横丁に行く性格でしたら完全に忘れていた自信があるくらいの記憶でした。


 「あの時はありがとう。本当は助けてもらった時にお礼を言いたかったんだけど、言えなくて気になっていたんだ」

 「そうですか。なら聞いたので、私は行きます」


 別に助けるつもりも無かったので私はお礼を言われても困るだけでした。
 とりあえずお礼も聞いたので私は早く寮へ戻ろうと思い、彼に別れを告げ帰ろうとすると、何故だかまた腕を掴まれました。


 ・・・少しだけイラッとしました。


 「まだ何か?」

 「え、あ。君の名前を教えて欲しいんだけど」


 最初に、私の名前を呼んでいたことから彼は私の名前を知っているはずですが。
 なぜ彼は知っているのに聞いてくるのでしょうか。


 「先ほど呼んでいたじゃないですか」

 「君の口から聞きたいんだ。僕の名前はセドリック・ディゴリー。君の名前は?」




 ・・・私は彼の名前に驚きました。

 セドリック・ディゴリー、彼は原作の登場人物です。


 私の脳内に激しい警報が鳴リ響きました。


 「名乗るつもりはありません。失礼します」


 彼の腕を振り払うと、私は足早に自分の寮へ向かいました。

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