Ministry of Magic5

 私たちはダンブルドア校長を先頭に神秘部の部屋へと入り、彼らがいたのは台座のある部屋でした。
 台座の上には何かベールのようなものがありました。
 原作ではベラトリックスの魔法により死んだシリウスがこの向こうに行ったのでしたね。


 部屋の中では死喰い人と闇払い、子供達が戦っています。

 私はダンブルドア校長に続き部屋に入った後、急いでセドリックを部屋を見渡し探しました。

 彼はすぐに見つかりました。

 ちょうどあらぬ方向に折れた腕を押さえながら、目の前にいる深くローブのフードを被った死喰い人に杖を向けられているところでした。


 「エクスペリアームス 武器よ去れ」


 私はそれを見てすぐに杖を死喰い人へ向け武装解除の呪文を唱えました。

 私の魔法によりセドリックの前にいた死喰い人の杖が高く飛び跳ね、驚いてこちらを見た死喰い人に私はさらに失神魔法を使い死喰い人をはじき飛ばしました。

 まさか部屋に入って早々にセドリックがピンチになっているとは思わなかったのでとても焦りました。

 目の前で起きたことに驚いたセドリックはこちらを見たので目が合いました。私は今は仮の姿ですのでセドリックは私が誰だかは分からないはずです。

 セドリックは怪我はしていますが、彼は死んではいませんでした。
 それに内心ホッとします。

 彼は今、杖を所持していないらしく近くを見ますと杖の残骸が落ちていましたので、おそらく壊されてしまったのでしょう。


 私の攻撃でこちらを見た人達はダンブルドア校長が現われたことに気がつきダンブルドア校長へと注目しました。

 ですが気付かず戦う人がいます。ベラトリックス・レストレンジとシリウス・ブラックです。
 彼らはベールのすぐそばで戦っていました。


 今なら、シリウスを救えます。


 私は一瞬迷いました。
 けれどその迷いがいけなかったのでしょう、その瞬間シリウスへ向けベラトリックスの杖から死の呪文と共に緑色の死の閃光がほとばしりました。


 その光景は遅くに見え心臓がギュッと掴まれた感覚がしました。

 …彼は死んでしまう。私はそう思いました。


 緑色の閃光は、横から現れた耳の長いギザギザ尻尾の淡く不完全な電気鼠の守護霊を貫通して、シリウスの心臓へと突き刺さりました。

 シリウスはその衝撃でベールへと後ろへ倒れそうになりましたので反射的に私はシリウスへ杖を向け彼をベールへ倒れないよう横へ弾き飛ばしました。


 今、シリウスを助けようとした守護霊は私と同じ守護霊です。

 ですが、あの子は私の守護霊ではありません。

 そして私と同じ守護霊を持つ者を私は一人しか知りません。

 私は自分の横を見ました。

 そこには杖をシリウスに向け、今は姿の違うスチュワートが呆然と立っていました。


 「シリウス!」


 その間にもハリー・ポッターがシリウスへと駆け寄りました。
 死の魔法は確かにスチュワートの守護霊に阻まれましたが、急いで出したために不完全だったのでしょう。

 シリウスの顔は目を見開いたままだんだんと土気色になっていきます。

 それにポッターがしがみつき、必死に名前を呼びますが反応はありません。


 結局、彼は死んでしまいました。

 ……これも私のせいでしょうか。
 私は彼を助けることができたかもしれないのに。


 隣から風を切る音が聞こえました。
 それは隣にいたスチュワートがここから勢いよく去って行くために起こった風です。彼の背中が扉から出て行きます。

 もしかしてスチュワートはシリウスと関係があるのでしょうか。

 シリウス・ブラックの名前に強く反応したのも、今とっさに守ろうとしたのも知っている人だからなのでしょうか。
 そんな予感がします。それなのに私は彼を見殺しにしました。


 ………。

 あっ。


 そこで私は気が付きました。
 この後に魔法省のエントランスホールにヴォルデモートが現れることを。

 今去っていったスチュワートが遭遇してしまうのはとても危険です。


 私は最後にセドリックを見て、すぐにスチュワートの後を追いました。

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