tea break
イースター休暇の前の日、私は出されていた課題のことで聞きたいことがあったため魔法薬学の地下教室へスネイプ先生を訪ねに行きました。
ノックをしてから許可を得て入りますとそこには教師用の椅子に深く腰をかけてどこかぐったりした様子のスネイプ先生がいました。
私はそれに首を傾げましたが、スネイプ先生は何も言いませんでしたので私は先生の前にある机へ課題の資料を置き先生へ分からないところを質問しました。
「あの、スネイプ先生。何かあったのですか?」
「何かとは?」
質問が終わった後にスネイプ先生へそう尋ねますと先生は眉を寄せて私をじっと見て答えますが、どこかいつもと違い疲れた様子を隠し切れていません。
そういえばスネイプ先生がハリー・ポッターに記憶を覗かれ過去を知られたのは今頃でしたか。
スネイプ先生は学生の時にハリー・ポッターの父親たちから嫌がらせを受けていました。それを知られてしまったはずです。
そんなこと、誰にも知られたくありませんよね。私だって平静ではいられないでしょう。
けれど先生はそれに激昂しているというより、複雑な心境のようで。
ハリー・ポッターの閉心術を止めてしまったことに後悔しているのでしょうか。それとも愛する人と同じ瞳を持つ彼に見られたくなかったのでしょうか。
私には分かりません。
私は杖を振り宙にティーポットとカップを一組出し先生へお茶を用意しました。
中身はダージリンです。
するとスネイプ先生は目の前に置かれた紅茶の入ったカップを見てから私を見ました。
「これは何かね、ミス・ファスト」
「前に私が落ち込んでいたときにスネイプ先生はお茶を用意してくださいました。ですので私も用意したのですが。ダージリンはお嫌いですか?でしたら他にも用意できますが」
それともコーヒーの方が好みでしょうか。
先生は前にお茶を出してくださいましたので私もそれに倣ったのですが。
首を傾げ先生を見ると、先生はじっと不可解そうに私を見つめて先生も杖を振りました。
すると私の横に椅子が一脚と机の上にもう一つ中身の入ったシンプルなカップが現れました。
「スネイプ先生?」
「君も掛けたまえ。思い出したが君には話しておきたいことがあった」
「話したいことですか?」
私は促されるままに椅子に座りました。
話したいこととはなんでしょう。特に私は問題は起こしてはいないはずですが。
「君のペットの黒猫のことだが」
「クロのことですか?」
「そうだ。あやつは我輩が歩いているとよく後ろを付けては足にしがみついてきて迷惑している。どうにかしたまえ」
「それは……ご迷惑をおかけしてすいません」
クロはそんなことをしているのですか。
基本この学校では猫は放し飼いにされていますし、それを許されているので私もクロを自由にさせてはいましたが。スネイプ先生に迷惑をかけていたなんて。
先生は全体的に黒いので仲間か、親かと思っているのでしょうか。
「分かりました。クロに注意します」
魔法界のペットは人の世界のペットよりも人の言葉を理解できますので私はそうすることにしました。
子猫であるクロが言うことを聞いてくださるかは分かりませんが。
「ですが珍しいですね。あの子は私やスチュワート以外の人には懐きませんでしたのに」
「……君はスチュワートと仲が良いのかね」
「はい。スチュワートはスリザリンの中で一番仲の良くさせていただいている人です」
いつも魔法薬学では隣に座っていますし、スネイプ先生は知っているものだと思っていましたが。
スネイプ先生は複雑そうに「そうか」と頷きました。
その後はスネイプ先生とお茶を飲みながらしばらくの間雑談をしました。
そういえばここまで先生と話をしたのは七年間で初めてでした。
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