get away2
(セドリック視点)
ダンブルドア軍団の会合がアンブリッジに見つかり僕は二人の後輩を連れて図書室へと逃げた。
図書室へ向かうことは相手にも察せられるだろうが図書室に着いてしまえばいかようにも言い訳ができる。
軍団の名簿が少し心配だが、それでも逃げられるだけ逃げるしかない。
僕たちが廊下を急いで走っていると目の前に人影が現れた。
ミリアだ。
彼女は腕に愛猫の黒猫を抱き歩いてくる。おそらく時間的にも図書室の帰りだろう。
「ステューピファイ、麻痺せよ!」
僕がそれに気を取られると僕の背後から失神呪文が紡がれた。
そうだ彼女はスリザリンだから後輩たちには敵に見えるだろう。
慌てて二人へ制止をかけるがもちろん間に合わず心臓が冷える思いだったが、ミリアは軽く盾の呪文を唱えてその攻撃を防いだ。さすがだ。
本当に良かった。もし彼女に当たるくらいなら僕はアンブリッジに捕まった方がマシだ。
本来ならミリアへ言い訳を言いたいところだったけど、今は逃走の最中だから僕はミリアに道を通してくれないか尋ねた。
やはり彼女はスリザリン生だからもしかしたらアンブリッジから指示を受けているのかもしれないから。
するとミリアは眉を寄せ、なぜか僕たちの方へと少し歩み寄った。
「見つけたぞ!」
と、同時に背後から足音が聞こえドラコ・マルフォイを先頭にスリザリン生3人を引き連れて現れた。こっちは確実にアンブリッジの指示を受けた連中だ。
「お前たち、集会に参加していたんだろう。さあお前たちもアンブリッジ先生のいる校長室に行って…!?」
僕たちはマルフォイたちへと杖を向けて臨戦態勢を整えるとマルフォイは僕らの背後に自分の寮の先輩であるミリアがいるのに驚いた様子で言葉を切った。
「…ドラコ。このような時間に何をしているのです?騒がしいですね」
ミリアがマルフォイへと話しかけた。
どうやら彼女は何も知らないらしい。マルフォイへと現在の状況を尋ねた。
僕はそれに内心ほっとした。もしこれから争いになったとしてもミリアと戦うなんてするつもりはないから。だから彼女が敵なら僕は負けるだろう。
だが彼女はスリザリン生。マルフォイに味方するかもしれない。
「僕はアンブリッジ先生に頼まれて規則違反の人を捕まえていました。彼らは無許可の集会をして違反したので追いかけていたんです」
「はあ。でしたら彼らは違います。しばらく私と話をしていましたから」
ミリアは面倒そうに息を吐き答えた。
心配は杞憂に終わりミリアはあっさりと僕たちがミリアと一緒にいたとマルフォイへ嘘の証言をした。
それにその場にいた全員が驚いた。まさか僕らの味方をしてくれるなんて。
それはマルフォイも同じだったようですぐに彼女が嘘を言っていると悟り僕らを庇うつもりなのかと苛立った様子で言ったが、彼女は絶対零度の蔑んだ表情でドラコを見ると「私が嘘をついていると思うのでしたら良いではないですか。私の言葉を信じなければ。くだらない。早く戦いでも何でもして早く済ませてください」と言い返した。
するとマルフォイはそれに怯み不服そうだがミリアと言い争うよりグリフィンドールを1人でも探した方がいいと思ったのだろう。
ハッフルパフへの悪態をつくと無防備にも背中を見せて去っていった。
少しだけ他の団員のためにもマルフォイへ魔法をかけようかと迷ったが、もし彼に魔法をかけるのなら背後にいるミリアが敵になってしまうかもしれない。
同じように背後から攻撃しようと考えたのか杖を向ける後輩を制してから僕はミリアへと庇ってくれたことのお礼を言うとミリアはどうでも良いすました様子で「別に貴方の為ではありません」とひとこと言い少しだけ急いだ様子で黒猫を抱え上げてまっすぐと自身の寮へ戻って行った。
僕はその去る後ろ姿を見つめてやっぱり彼女のことが好きだと思った。
マルフォイたち相手ならどうにかなったかもしれないが争わずにすむことに超したことはない。
それにスリザリンであるのにミリアは僕らのことを庇ってくれた。それがどれだけ嬉しいことか。
同じようにミリアの背中を見つめる後輩がさきほどまでとは違う目でミリアを見ていることは今は触れないでおこう。
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[mokuji]