a kitten and professor
私はバレンタインデーに空き教室でクロと一緒に過ごしていました。
セドリックと約束通りに私はホグワーツで過ごしています。
窓からはクィディッチの箒の飛び交う競技場が見えるのでおそらくセドリックが練習しているのでしょう。
朝、セドリックから直接バレンタインカードを渡されました。受け取るとセドリックはとても嬉しそうにしていました。
その際にこの時間は競技場を使っていると聞いたのです。
最終学年ですから悔いのないように頑張ってくださればいいと思います。
私は魔法で守護霊を出してクロと遊ばせていました。
私の守護霊は日本の国民的キャラクターの長い耳とギザギザの尻尾が愛らしい電気鼠です。
はじめて三年生のときに守護霊を作ることができたときは現れたこの子に驚きましたが。
可愛いので良かったです。
ただ他にこの架空の生物の守護霊を使う人はいませんでたので使えば私だとバレてしまうことがネックだと思いましたが、仕方がないですよね。
クロは現れた電気鼠に小さな前足で猫パンチをしますが、電気鼠はどこ吹く風でクロにすり寄ります。
「こんなところで何をしている、ミス・ファスト」
「スネイプ先生、こんにちは」
声の元を見ますとそこにはいくつか本を抱えたスネイプ先生が立っていました。
現れたスネイプ先生に私は守護霊を消して挨拶をしました。
それに遊ぶ相手が消えたクロから不満の鳴き声が聞こえてきましたが気づかないフリをします。
「飼い猫と一緒に魔法の練習をしていました」
「ほう。君は守護霊の呪文を使えるのかね」
「はい、スチュワートも使えます」
「それは知っている」
あっさりとスネイプ先生は言いました。
知っていたのですか。
さすが仲が良いですね。とはきっと良い結果になると予想できませんでしたのでそれは口にしませんでしたが。
スネイプ先生は机に持っていた本を置きますと、私のそばまで来ました。
「もう一度、守護霊を使ってみたまえ」
「?はい」
スネイプ先生がそう言ったので、私は拒否する理由がなかったので頷いて守護霊の呪文を唱えました。
すると私と先生の間に再び電気鼠が現れ、ちょこんとした佇まいで私達を見上げました。
それをスネイプ先生は見下ろします。
「…なるほど。とてもよく安定している。スリザリンに二十点」
先生は満足そうに小さく笑みを浮かべると褒めて、点数も下さいました。
私は褒められ思わず嬉しくなります。緩んでしまいそうになる顔をなんとか抑えました。
「先生、ありがとうございます」
「努力に見合う点数を与えただけだ。魔法は使えることに越したことはない。これからも励むように」
「はい」
スネイプ先生の言葉に私はしっかりと頷きました。
先生は良い人です。
他の寮ではこのように暖かな言葉を頂くのは難しいので私はスリザリンで良かったと思います。
と私は嬉しさから油断していました。
思わず薄れた足元にいた守護霊の隙を窺っていたのでしょう、走って突っ込んできたクロが守護霊を霧散させその先にいたスネイプ先生の足に激突しました。
クロは小さいのでダメージは二人とも無さそうでしたが。
足にぶつかられたスネイプ先生は思わぬことに口をへの字にしてクロを見下ろし、クロはそんなこと存ぜぬと不満そうに私へ振り向き鳴き声をあげたので。
「ふふ」
私は思わず小さく笑ってしまいました。
平和です。
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