Melting Valentine's Day3
ホグズミードの日が掲示されてからしばらくして、夕食の前に私はセドリックに会い普段通りに2人で話をしていました。
やはりまだ私はセドリックからホグズミードへ誘われてはいません。
ですのでその話題は無しにセドリックといつも通り授業や世間話の話をしていましたが。
今日はセドリックは途中真剣な表情になりますと、私をじっと見て言いにくそうに言いました。
「ミリア、君は今度のホグズミードに予定はあるのかい?」
セドリックの質問に私は少しだけ緊張をしました。
……今更誘われるのでしょうか。
私はもうセドリックは誘ってはこないのだと思っていましたので、答えを考えていませんでした。
「いえ、予定はありません」
ですので私はとりあえず事実だけ答えました。
するとセドリックはホッとしたような安心した表情をしました。
「予定は、ないのか」
「ええ」
ぎこちなく安堵する声を漏らすセドリックをじっと見上げます。
「セドリックは何か予定があるのですか?」
聞いてきても誘いの言葉はないセドリックへ私は尋ねました。
もし、例えチョウと行くつもりでも原作と異なる部分ができたのならなるべく把握しておきたいですし。
「うん。ホグズミードの次の土曜日にグリフィンドールとの試合があるから僕たちはクィディッチの練習があるんだ」
「……そうでしたか」
…クィディッチ、そうクィディッチですか。
どうやらセドリックが私を誘わなかったのはクィディッチの練習があったからだそうです。
ここまで私はクィディッチに興味がないことを悔やんだのははじめてです。
日程くらい把握しておくべきでした。
最近の、セドリックが私を好きではなくなったのだと考えていたモヤモヤが今はもう恥ずかしいです。
もう自意識過剰で、本当に。何を私は動揺していたのでしょう。ああ、もう。
「そうですか。でしたらクィディッチの練習、がんばってくださいね」
心の中では投げやりになりながら私はセドリックへ言葉をかけます。
今日は夕食を取らずにさっさと寮へ戻って寝てしまいたくなりました。まあ今日出されたレポートをやらなくてはならないのでそれは無理ですが。
最終学年でN・E・W・T試験があるので私たち七年生は多くの課題を出されていますから。
「あ、あのさ。ミリア」
「はい?」
居心地が悪い私の心中を知らないセドリックは、私を見つめて意を決したように、何かを言おうと不安そうに私を見ました。
真剣な表情です。
「ホグズミードへ誰とも出かけないで欲しいんだ」
「はい?」
「僕が本当は誘いたかったけどそれができない今、君が誰かとバレンタインにホグズミードへ行くのが嫌なんだ。だから、お願い。誰にも誘われないで」
必死にそう言ってくるセドリックに私は呆けてしまいました。まさかそんなことを言われるとは思いませんでした。
意味を理解して顔が熱くなります。
先ほどとは別の意味で恥ずかしいです。
「別に私は貴方と行かないのでしたら、ホグズミードへ行く意味はないので行きません」
行って何をするという予定もないので私はセドリックへそう答えました。
もともと他の人から誘われても行くつもりはありませんし。
するとセドリックは驚いた顔と共に顔を赤く染めました。
「本当かい?」
「ええ。そのつもりです」
「やった。ありがとう、ミリア」
「別にお礼なんていりません。言われる前からそのつもりでしただけですし」
私は何でもないように言いますと、セドリックは「それでもありがとう」と整った顔を幸せそうにして言いました。
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