HOG'S HEAD

 今年度はじめてのホグズミードの日。
 スリザリンでも談話室は朝からその話で持ちきりでした。
 とくにはじめて行く三年生はホグズミードに行ったらどこどこへ行きたいなどと浮き足立っています。

 私はある程度の予測はしていましたが。
 ホグズミードの日取りが決まってから何度か一緒に話をしたセドリックから一度もホグズミードへ誘われませんでした。

 そのことに少し胸が重くなります。

 別にそれはセドリックと一緒にホグズミードに行きたかったからではありません。

 自意識過剰のように思われるでしょうが。あんなに目に見えて、おまけに実際に言われたくらいに私を好いているセドリックが私を誘わないといういうことは、他に大切な用事があることです。

 そして私は今日、闇の魔法使いとの戦いに備えた実戦練習をするための集まりであるダンブルドア軍団の結成があることを知っています。

 まあ、セドリックが私に飽いて友人や女性と行く可能性もゼロではありませんが。
 おそらく私の予想は当たっているでしょう。




 私は原作で知っている会合場所である“ホッグズヘッド”の近くでこっそりと誰が店に入るのか見ていました。
 一応透明マントと分類される目くらましの魔法がかかったローブを羽織っているので、ハリー・ポッターの透明マントほどではありませんが、そのローブのおかげで姿を隠せます。
 集まる時間までは分かりませんでしたが、見張っていると普段なら来るはずのないホグワーツの生徒がホッグズヘッドへ入って行きます。

 その中にはやはり友人と一緒にいるセドリックや少し後に現れたチョウ・チャンの姿もありました。
 セドリックは参加をするらしいです。彼の正義感の強い性格からしてありえそうでしたものね。
 最近は同じ三校魔法対抗試合の代表選手だったせいかハリー・ポッターとも仲が良いようでしたし。

 ハリー・ポッターには新聞のせいでいやな噂が流れているので、それでも友好的に接するセドリックは良い人です。


 それにしてもチョウ・チャンですが。
 結局、セドリックの生きている今、彼女の運命はどうなるのでしょうか。

 私は彼女はおそらくハリー・ポッターの事が初めは好きで。セドリックにダンスパーティーに誘われてからセドリックの事を好きになったのだろうと予測していましたが。
 改めて真面目に考えてみるとどうなのでしょうね。恋を推測することは難しいです。

 もしも、私の読みが違っていてここから彼女がセドリックと愛し合うようになる可能性もあります。
 その場合でも、あまり原作を大きく狂わせる結果になるとは思えませんのでいいのでしょうが。

 少しだけそれを望みながらも。
 寂しいと思ってしまったのは、最近よくセドリックから誘われて一緒にいるせいです。
 ああ、面倒くさいです。

 私は最後の一人までホッグズヘッドへ入る生徒を確認してからその場を去りました。

[ 68/179 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]