after a week

 次の日に私が廊下を歩いているとクィディッチのユニフォーム姿のセドリックと会いました。
 セドリックと私は首席でしたので、ホグワーツへ向かう列車でその仕事をするために会ったとき以来です。

 彼は私に気がつくと話しかけてきて、これから新しい選手の選抜をするのだと教えて下さいました。
 ちなみに彼はチームのキャプテンです。ですので選抜など責任は重大でしょう。
 今年に入って首席となった彼は私が話している今も相当な視線を集めています。


 「ミリア、君はこれから図書室?」

 「ええ、そうですけど」

 「そっか。できれば、時間があれば君と一緒に行きたかったけど。最近は君と話せていないから」

 「そうですね」


 話せていないと言っても一週間ですが。友人になる前までよりは確実に頻繁だと思います。


 「…あなたは忙しいでしょう。クィディッチのキャプテンで、首席で監督生ですし」

 「うん。さすがにね」


 セドリックは少し元気がなく答えて疲れた様子ですが。
 なら私にわざわざ話しかけずに今もさっさと競技場へ向かった方がいいと思います。
 後ろでセドリックを待っているチームの方もそわそわした様子ですし。


 「忙しいけど。僕は君ともっと一緒にいたいよ。今は偶然会えたけど、それだけじゃ足りない」

 「…」


 セドリックは眉を寄せて哀しそうに言いました。

 思わず顔が熱くなってしまうのは仕方がないと思います。聞こえていた人たちからも悲鳴のような黄色い声が聞こえてきましたし。

 本当に彼はすごい方ですよね。このすごいは別に褒めてはいません。


 「そのお気持ちだけ受け取らせていただきます。ですが、そろそろ行った方が良いのではないですか?チームの方もお待ちしているようですし」

 「…そうだね。またね、ミリア。時間がある時にもっと話そう」

 「ええ。クィディッチ頑張ってくださいね」


 他寮であるセドリックを応援するのはどうかと思いましたが、そもそもクィディッチにそこまでの興味はないのでそうセドリックに声をかけました。
 するとセドリックはとても嬉しそうに笑顔になり頷き、競技場へと向かっていきました。

 私はその背中を少しだけ見つめて、図書室へと向かいました。

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