after a week
書籍でいうところの第五巻“不死鳥の騎士団”であり私にとっては最終学年である七年生となり、一週間が過ぎました。
今のところは見る限りとくに問題はなさそうです。
やはり今一番に注目すべきことはアンブリッジでしょう。
防衛術の教師になったアンブリッジは実践を避け、座学ばかりの授業を行っているのでスリザリンの中でも小さく不満の声が出ています。
まだアンブリッジはスリザリンを贔屓するので不満は他の寮に比べて少ないですが。
それでも現に今、スリザリンの談話室のソファで本を読んでいてもポツリポツリと不満の声が聞こえてきました。
これがいくらヴォルデモート卿のためになる行為だとしても、普通の人でしたら実技のあるはずの授業が座学ばかりになってしまっては気が滅入るものですしね。
私は座学の点は平気ですが。
ただ授業内容が簡単に要約しますと『攻撃的防衛的な魔法は必要がないときは学ぶためであっても使うべきではない』という理念のもので意見が偏っているのが好ましくありません。教師は公平であって欲しいです。
スリザリンの寮監であるスネイプ先生も生徒に態度は公平ではありませんが(ハリー・ポッターの場合は理由があるとは言え)、授業内容は偏っていません。ハグリッドでさえなんだかんだきちんと習うべきことを教えてくださいましたし。
ヴォルデモート卿の復活の如何に関係なく自己防衛は疎かにすべきではないと思いますし。
そもそもアンブリッジは確か作中では語られませんでしたが、ヴォルデモート卿と関係があるのでしょうか。
私の見解ではまだないとは思います。そうしたらもっとヴォルデモート卿にとってことはスムーズでしたでしょうし。
アンブリッジは長いものにとりあえず巻かれて好き勝手するような人ではないかと思っています。
「にゃー」
そんなことを考えていると足元から可愛らしい鳴き声が聞こえました。
鳴き声の主は軽々と私の膝の上に飛び乗ると、私を見上げてまた一つ鳴きました。
黒色の金の目を持つ小さな子猫です。
この子は今学期が始まってからスチュワートからいただいた子猫です。
おそらくは構って欲しくて来たのでしょう。
私は彼女の頭を撫でますと、子猫は目を細めて喉を鳴らします。
彼女ははじめから人なつこい子でした。
スチュワートから初めて手渡されたときも、じっと私を見つめて私へと体の大きさに比べ長い尻尾を絡めてきましたし。
「にゃー」
「あなたはいい子ですね。クロ」
安直な名前ですが、私はこの子に日本語のクロという名前を付けました。
もちろん毛の色からです。
家には親のフクロウはいますがほとんど親のところに行っていますので、彼女が私の初めてのペットです。
本当に可愛いです。
膝の上で丸くなるクロを撫でながらふと談話室のテーブルを見ると、ドラコとスチュワートが二人で本を読みながら話をしていました。
ドラコの手元にはレポート用紙がありましたので、おそらくレポートの相談をしているのでしょう。
スチュワートは面倒見がいいです。
聞かれたらグリフィンドールでなければ後輩の相談には乗りますし、私が夏休み前に頼んだことも調べてきてくれました。
…条件付きでしたが。
まあ、いいです。
それはまだ時間があるので追々考えます。
今年度はまだ始まったばかりです。
主人公であるハリー・ポッターの周りでは忙しないのでしょうが、私の周りは平和です。
おそらくは嵐の前の静けさというものなのでしょうが。
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[mokuji]