鬼の居ない鬼ごっこ
「気持ちいいの?」
薄く瞳を開けると、ライトに照らされて光る首筋の汗に目を奪われる。
奪われたのも束の間、私の奥を思い切り抉られて返事の代わりにあられもない声が零れた。
「淫乱、誰に仕込まれたんだよ。」
誰だなんて、目の前のあなたしか居ないのに。答えを聞く気のない雷蔵は私の体を揺さぶる。
「らい、ぞっ!もう、だめ…」
壊れそうな快楽に溺れてしまいそうで、ベッドのシーツを握りしめる。
「だめ、じゃないでしょ。三郎にいっぱい可愛いがられた体じゃ、刺激が足りないんじゃない?」
裏膝を持ち上げて、更に奥を貪る雷蔵。出すよ、と言う短い言葉と共に吐き出されたゴム越しの熱いモノを私のナカが絞り出すように収縮する。
そのまま私の体に雷蔵が被さってきたので、私は雷蔵を抱きしめる。
「★、大好きだよ。三郎が思うよりも、ずっとずっと大好きなんだ。」
ねえ雷蔵、三郎なんて関係ないんだよ。私は雷蔵さえ居れば他の誰も要らないの。
「私も、雷蔵が大好き。雷蔵が一番好きなの。」
在るはずのない三郎の影に追われる可哀想な雷蔵。
どんなに雷蔵を捕まえても、鬼ごっこの鬼を繰り返す私。
どうやら、私たちの鬼ごっこはまだまだ続くらしい。