罪は犯すためにある
ある男には彼女がいる。
でも、そのある男とあたしは今現在繋がっている。
誰が一番悪いか?
そんなもん見れば一目瞭然でしょ。
「ん、…あっ」
何回目の行為なんかもう覚えていられなかった。
三郎とあたしは何回も体位を変えてお互いを求める。
「何?★、ココがイイの?」
三郎がソコを抉るように腰を動かす。
「んぅっ…ダメ、そこ…きもちっ」
あたしはよがって三郎の首に腕を巻きつける。
だらしのないあたしの体は、またびくりと体を揺らしてゆっくりとベッドに沈む。
「…も、無理。」
三郎がニヤリと笑う。
あたしの中に入っているものがズクリと脈を打つ。
「まだイケるだろ?」
遠慮というものを知らない三郎が動きだす。
その律動に躰を預けて、あたしは快楽の海を泳ぐ。
そんな意識の中でも明日の課題と、友人である三郎の彼女に借りたCDを返さなきゃなー、とか考える。
明日になれば、三郎と彼女が手を繋いであたしの前に現れるだろう。
そしてあたしは何気ない顔で笑ってCDを返し、何番目の曲が良かったと言うんだろう。
その浮気を歌った曲を好きだと言うあたしに、彼女はなんと言うだろう。
「なぁ、何考えてる?」
三郎の声で、あたしは海の中にあった意識を浮上させる。
「三郎の事、思ってた。」
三郎はまたニヤリと笑う。
「★、好きだよ。」
その口で、三郎は明日あたしになんと言うだろう。
そう思うと、明日という存在が酷く邪魔だと感じた。
本能的な行為の中、あたしの心は理性と後悔が行き来していた。
三郎にキスをする。
頭の中で浮気を歌った曲が繰り返し流れていた。