暴君ハニー



蛙には蛇。コブラにはマングースのように、俺には1人だけ、たった一人だけ…ものっすごく苦手な人がいる。


七松先輩2号。いや寧ろ七松先輩女バージョンな暴君っぷりの☆★先輩に、俺は振り回されっぱなしだ。


「もしもし、三郎?僕だけど。今日学校休んでどうしたの?」


「あ、雷蔵か…。今日ちょっと…家から、出れなくて。」


「え、大丈夫?風邪でも引いたの?」


「いや、そうじゃないんだけど…、なんていうか…その…。」


「じゃあ何なの?すっごい歯切れ悪いんだけど。僕にも言えない事なの?」


「いや!言えないこともないんだけど…かなり、その…言いにくいんだけど、ね。…乾かなかったんだ…よな。」


「乾かなかった?あ、制服が?」


「いや、それじゃなくて…。」


「じゃあ何!?さっきから本当に気持ち悪いんだけど!」


「…んつ。」


「は?何…?」


「だから!…パンツが乾かなかったんだよ!!」

「…。」


「雷蔵、お願いだから沈黙はやめて…!」


「う、うん。何かごめん…。それは由々しき事態だよね。お、お大事に。」


「雷蔵!俺には見えるぞ!電話越しでも、俺へのA.Tフィールド並みの厚い壁が出来てるの…!やめて!俺泣いちゃう…!」


「ごめん、ごめん。多分大丈夫だから…。」


「あ、あぁ。でさ、このことなんだけど誰にも言わないでな…。とくにあの人…★先ぱ…「よーっす!不破ちゃん元気ー?ねぇ鉢屋は?あたしあいつにスラダン借りるよていなんだけど…」



や、ヤバい。



「あ?電話中?あ、これ鉢屋に繋がってんの!?ちょ、貸して貸して!やっほー!鉢屋今からスラダン持ってこいよ!」


「いや、今日ちょっと学校行けなくて…」


「いいじゃん!何風邪なの!?大丈夫?お見舞い行こうか?」


「ぜっ…たい来ないで下さい!」


「変な鉢屋ー。不破ちゃん、鉢屋に何が起きたの?え、言えない?…ふーん?ちょ、不破ちゃんこっち来な。」


「ちょっ!雷蔵に何する気ですか!?」


「何って?鉢屋が口を割らないなら不破ちゃんの着ているものを一枚一枚はが…「言います!言いますから…!」


「んで!何が起きたの?」


「あの、えーっと…「きゃー!★先輩!服脱がさないで!」


「らいぞー!!先輩!待って!ぱ、ぱんつ!パンツが乾いてないんです!だから雷蔵に手を出さないでー!」


「へ?パンツ…?」


「…。」


「ぶっ!…あはははははは!!」


「…だから、学校には行けないんです…」


「わかったわかった。じゃあ持って来いなんてきわないから。」


「はい、」


「じゃあ。」


「じゃ、じゃあ?」


「今から鉢屋んち行ってスラダン借りに行くから!ノーパンで待ってな!」



「え!?ちょ…!」


ブツッ…ツー、ツー、ツー、



プルルルルル、プルルルルル、


「…三郎?」


「…雷蔵。」


「なんていうか、ご愁傷様です。」


本当に、俺。ご愁傷様です…。


その後、七松先輩と★に脱がされかけている俺を、雷蔵と兵助とハチが必死になって止めてくれた…。



あぁ、どうか神様。俺に安住を…。




「なぁ、何で三郎って★先輩が苦手なんだろうな?」


「何だ、ハチわかんないの?」


「え?兵助は知ってるの?」


「雷蔵も知らなかったのか。アレだよ、アレ。」

「「アレ?」」


「惚れた弱みってヤツだよ。三郎は気付いて無いだろうけど。」



「「あぁ…。」」

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