違和感と登校
アパートから大学までは徒歩15分。いつも1人で歩く道を、神田と並んで歩くのは少し違和感を感じる。
「いやー、家から近いっていいねー。」
元気良く歩いて行く神田とは対称に睡眠不足の俺は若干足が重い。
門をくぐった所で、前方にスタスタと歩いている仙蔵を見つけた。
「あ、仙ちゃーん!おはよー!」
神田のでかい声に仙蔵が振り向き、俺を見て鼻で笑いやがった。
「文次郎、いつもより隈が酷いようだが?」
うるせえ。誰のせいだと思ってんだ。
「仙ちゃん、昨日はありがとね。」
「別に構わん。それよりはづき、文次郎に襲われたりしなかったか?」
「私、色気ないのかな。一緒のベッドで寝たのに全く潮江襲ってくれなかったの…」
「バカタレ!あれは勝手にお前が入ってきたんだろうが!つーかお前寝ぼけてたんじゃなかったのか!?」
「…ほぅ。」
顎に手を当て、俺を見て不敵に笑う仙蔵に寒気を感じた。
(完全に揺する気だ…。)