状況は急ぎ足




「待て待て待て。俺は止まって良いなど一言も言っとらんだろ!」


その言葉に、荷物を出していた神田が止まる。これで何とか神田が泊まるのを阻止しよう。


「えー、潮江のケチ!じゃあ私はこんな真夜中に1人路頭に迷えというの!?公園で寝ろと言うの!?野垂れ死ねと言うの!?!


反撃に移そうかと思えば逆に攻撃を受けた。


「い、いや…そ、そういう訳じゃないが…。ほら、アレ…うん。俺は男だぞ?お前には危機感と言うものが…」


何とか理由を述べていると、急に神田は服の中を確認しだした。


「…あ、潮江ごめん。今日勝負下着じゃないんだけど。」


でも潮江なら…、って頬を染めて言うんじゃないバカタレ!


「ばっ、バカタレ!人をおちょくるな!」

「あはは、潮江顔真っ赤ー!仙ちゃんに言ってやろー!」


俺を指差してへらへらと笑う神田に、また眩暈がした。もういい、早く寝よう。


「…もういいわかった。俺は寝る。お前も適当なとこで寝ろ。明日は絶対出ていけよ!」


明日、を強い口調で神田に念を押して、神田の横にあるベッドへ潜った。

「ねぇお風呂借りていい?まだ私入ってないんだ。」


「…勝手にしろ。」


「覗いても、良いんだからね?」


「だれが覗くかバカタレ!」


(動悸よ、おさまれ!)


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