歪を愛でる僕らは何て愚かだろう
首筋をなぞるように舌を這わす。
☆の肩がびくりと震えた。
白く穢れの無い首筋が、汚れていると泣く☆には似合わないと思い、赤くきつく俺の跡を残す。
「ごめん、鉢屋…」
☆の、消えてしまいそうな呟く言葉に、俺は動けなかった。
何で謝る?
今謝るべきなのは俺の筈なのに。
「巻き込んでごめん、離れる方法はいくらでも有るはずなのにね…。」
そっと☆は俺の頭を優しく抱き締める。
それはまるで小さな子どもをあやす、母親のような温もりで、また俺の心臓がキリリと痛む。
その痛みに飲まれないように、骨が軋む程☆を抱き締めた。
「俺にしろよ、好きになるやつ。お前も、俺も汚れてるなら、お互い様だろ。」
顔を覗き込めば、泣きはらした☆の顔。
母親の温もりから一転、その顔はあどけない女の子の顔だった。
俺は出来る限り優しくキスをする。
「…鉢屋はずるいね。こんなことされたら断れないじゃん。」
そして、柔らかな唇が俺の唇を塞ぐ。
そう、俺は狡い。
すべて解っていた。解ってしまったんだ。
ハチが☆を好きな事も、ハチが綺麗も汚いも全部ひっくるめて好きっていえるヤツだって事も、知っているのに言わなかった。
否、言えなかった。
☆を手放したくなかったから。
友情や理性なんか放りだすほどにハマってしまったから。
もう戻る事なんて出来ない。
窓から見える夕陽が沈む頃、俺の歪んだ心と☆の悲しみを背負った心が重なった。
end.