わたしは何もしらない
「なぁ、☆ってどんなやつ。」
ハチ、雷蔵、兵助と昇降口で待ち合わせて、開口一番☆の事をみんなに聞く。
☆の名前を出した時、ハチの肩が不自然に揺れた。
「☆?いま隣の席だけど別に普通の子だよ。明るいし話しやすいヤツだけど?」
兵助が何で?って顔しながら答える。
「☆ちゃんなら同じ図書委員で真面目に仕事してくれる良い子だよ。」
雷蔵も知ってるのか。
「☆なら同じバンド好きでよくCDとか貸してくれるぜ?つか腹へったし、マック行こうぜ。」
ハチまで。
俺だけか、何の接点も無いのは。
みんながセットを頼んでいるがじゃがりこで腹が減っていないからシェイクとみんなのポテトをつまむ。
「んで、なんで三郎の口から☆の名前がでるの?」
チキンフィレオを頬張りながら、さっきの話題を兵助が掘り出す。
ハチがコーラを喉に詰まらせ激しく咳き込む。
隣にいる兵助が汚いっと言いつつ未だ咳き込むハチの背中を叩く。
「あー…どんな子なのかなーって、そんだけ。」
雷蔵が目を丸くして俺を見る。
「三郎が人に興味を持つなんて珍しいね。」
あーそう言えば、と他の2人も頷く。
「俺だって興味ぐらいは持つよ。」
視界の端でまた携帯が唸る。
「っげほ、三郎が女に興味持つのはえっちするときぐらいだろ?」
ハチがそう言うと兵助と雷蔵が顔を赤らめる。
まぁ、えっちが目的なんだけどな。
「つか☆のアドレス知りたいんだけど誰か知ってる?」
3人が固まる。
「何だよ、知らねえの?」
雷蔵が困った顔をする。
「知ってるけど…三郎、☆ちゃんに変な事しない?」
他の2人もジトーっとした目で俺を見つめる。
俺がしたいわけじゃない。向こうから言ってきたんだ。
「さぁな。そんなに心配なら☆に聞いてみろ。」
にやりと笑ってやった。