「来年もそばに居て下さい」



騒がしい。今日学校に着いて一番最初に思ったことはそれ。そりゃ、いつもの学校が静かってな訳では勿論ないんだけど、今日の学校は朝から特別騒がしい気がする。今日何かあったっけ?


「おはよー」
「あ、おはよー!」

教室に入ったもののやっぱり騒がしいくて、私は首を捻る。見てると騒がしい原因は女子な感じ。男子は別に普通っぽいもん。なんていうか女子達(私も女子だけど)いつにも増して朝からきゃーきゃー言ってる?みたいな?あ、きゃーきゃーじゃないかも。きゃぴきゃぴ?きゃぴきゃぴって単語思い付くとかなんかおっさんくさいな私。

「ねー今日なんかあっ「きた!きたよ!」
「えっ、本当に!?行く!」

私の友達はどこかに行ってしまいました。はい。もう本当になに?きたってなにが?誰が?今日芸能人でも立海に来るの?あー、もう、全然分かんないよ。なんか気付いたら我が3Bの私以外の女子教室内に1人もいないし。みんなそのうち帰って来るだろうから、いいけどさー。なんなの本当に。

「あれ、お前行かねえの?」
「あ、ブン太。行くってさ、どこ行くの?」
「どこって、今日みんなが行くところなんてあそこしかないだろぃ」
「だから何処よ」
「……お前、今日何の日か分かってないのかよぃ?」
「分かってたら聞きません」
「仁王の誕生日だぜ」
「えっ」



* * * * *


「彼氏の誕生日を忘れてた理由は何かのぅ?」
「な、なんでしょうかね」

ヤバい非常にヤバい。今日の朝から騒がしい理由は雅治が誕生日だったからみたいだった。で、ですね、まあ私はスコーン!と忘れてた訳ですよ。雅治の誕生日を。普段は騒がしいお昼の教室も、向かい合って私は雅治に怒られているからか、なんか騒がしいのが耳に入ってこないし。人ってピンチになるとこうなるんだね!……じゃなくて、どうしよう。本当にどうしよう私。

「プレゼントは?」
「ない、です」
「0時過ぎてからも電話もメールもないしの」
「…おっしゃるとおりで」
「……はぁ、」

雅治があまりにも悲しそうな顔で言うから、どうしたらいいのか分からない。いや、どうしたらいいのか分からないっていうか、どうしたら正解なのか分からない。今まで雅治としか付き合ったことないから、彼氏の誕生日を忘れちゃった時の対処法なんて知らない。そりゃあ、とりあえず全力で謝ってはみたんだけどね。
私がこのまま雅治の説教を聞くのはいいんだ。だけど、雅治優しいから、説教し終えたら絶対に私を許していつも通りに接してくれちゃうと思う。違う。違うの。そうやって許して貰うなんて正解じゃない。でも平謝りするのもなんか違うんだ。どうしたら、更に謝る以外に方法が思い付かないんだけど、どうしたらいいんだろう

「もう、いいぜよ」
「……」
「反省しとるみたいじゃし、怒っとらん」
「……」
「こっち、きんしゃい」

雅治は椅子から立ち上がって、今にも歩き出しそうに後ろを向いて、手を差し出してきた。その振り返りながら見える、雅治の顔が泣きそう。整った眉が少し歪んで、悲しそうに笑う。違うの。そんな顔の雅治は見たくない。私は、

「もっと、怒って」
「……」

気付いたら体が勝手に動いて、雅治を後ろから抱き締めていた。髪から、背中から、雅治の匂いがして心地良い。私の体温が雅治に伝わりますように。体で気持ちが伝わりますように。

「遠慮しないでもっと怒ってよ。私は、もっと怒られなくちゃ駄目だもん」
「……もともと、そんなに怒っとらん」
「嘘。私が雅治で雅治が私の誕生日を忘れてたら、怒るもん」
「本当じゃ。俺は、正直、誕生日にお前さんがそばにいてくれるだけで嬉しい。……でもそんなに気にするなら、俺のお願い叶えてくれたら、誕生日プレゼントになるから叶えてくれんか?」






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12/4
Happy birthday!
Masaharu Niou!!

銀色に心からの愛を!さん提出



 

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