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■救いを抱いた夜

「……なんだよ、離せよ」
「むりだ、いまは、ちょっとだけ……ほんのちょっと待ってくれ。たのむ」
「巫山戯んなよ、」
「………」
「いっつも、勝手にベタベタしてきて」
「……ああ」
「いっつも、オレのことばっか心配して」
「ぅん……」
「オレが、そーゆーの拒否できないの知ってて、」
「そうだな、……」
「……狡い」
「……俺は、狡い男だな」
「知ってんだよ、バーカ」
「そんで、とんでもねー馬鹿だ」
「今更!」
「……気付くのが、遅すぎた」
「………」
「でも俺、前に進まなきゃなんねえ。前を見なきゃなんねえ。じゃねえと示しが、俺の償いが」
「それって、そんな必要か?」
「必要。必要とか、そういうんじゃねえだろ」
「じゃあ、示しとか償いも違うな」
「うるせ、お前にはわかんねえよ」
「わかんねえ奴に甘えてくんなよ」
「……うるせえ」
「……。必要に、されてんのか?」
「……ぁ?」
「示しとか償いとか、お前の大事な人たちに、必要とされてんのか?」
「………」
「それって、自己満足って言うんだろ。お前から聞いた話だと、お前の大事な人たち、すんげえカッコよかった」
「………」
「示しとか償いとか、小難しいの嫌いそうな、とんでもなくカッコいい人たち。お前にも、いんじゃん」
「……ん」
「泣きたいときゃ、泣けよ」
「………」
「父ちゃんが言ってた。涙は時に、嫌なもの全部持って行ってくれるって」
「……へ、ぇ」
「俺だけじゃ何もできないけど、きっとそれが、お前を救ってくれるから」
「……、……やべえ」
「なにが?」
「オレの大事な人等、全員カッコよすぎんだろー……」
「ハハ、ホント今更だな。バカグレイ」
「そうだなあ……」 
at 3/28 8:7
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